インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

宣告 (上巻) (新潮文庫)

価格: ¥50
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
死刑反対の立場からの小説 ★★★★★
死刑囚の拘置所での暮らしが描かれている良書。
長編ですが、読んで損はないと思います。

加賀乙彦さんは、死刑反対の立場です。いつ死刑になるかわからずビクビクして暮らすのは人権侵害とのお考えなのでしょうか。
また、死刑は犯罪抑止力にならないというお考えも、随所で明らかにされておられます。

しかしながら、今の死刑制度がある日本では、大多数の一般人にとっては死刑は犯罪抑止になっているのではないかと、個人的には思います。
「死刑制度があるのにも関わらず、複数の殺人を犯す人にとっては、死刑制度は抑止力になっていない」
という、その事実しかわからないのではないでしょうか、現状で死刑制度がある日本においては。

死刑制度があろうが、なかろうが複数の殺人をする人にとっては、死刑制度は犯罪抑止力となり得ません。が、だからといって、死刑制度が全ての国民にとって犯罪抑止力にならないとは言えないのではないかと思います。

加賀乙彦さんは、東大医学部出の頭の良い人のようですが、そこの説明がなされていないように思えます。
仕事で死刑囚と付き合う内に、死刑囚に感情移入されてしまったのでしょうか?

主人公の死刑囚が、女子大生の面会人を楽しみにする様子や、キリスト教の45歳の小母さんが退屈な時に面会に来てくれれば有難いと思うものの、そうではない時にはウザったく思う様子も、リアルな男性心理だと思いました。

死刑囚といえども、そこには日常があり、色々考えさせられました。





人間、このか弱きもの ★★★★★
まず初めに、この本を読んでも私の死刑存続への賛同は揺るがなかったことを書きたい。
ただ、それへの答えを見つけるために読む本でもないし、作者も廃絶を流布する手段として著したものではないことも明白な作品だ。

なぜこんなに一気に読了させるほどこの作品は魅力的なのだろうか・・・。
もちろん、加賀氏の筆致・構成などなど作家としての素晴らしい力量によるところもあるし、
精神科医としての専門家的視点で描かれた迫力もある。
だが、それだけだろうか。
多分に、犯した罪・その被害者の唯一の仕返しともいえる死刑求刑とその執行までの恐怖、
その未知の世界を読み手が追体験させられるからだと思う。
人間とはこんなにもか弱く脆く浅はかなのかと痛感する。
そして、だからこそ人は愛おしい。
死への恐怖 ★★★★☆
死を待つ恐怖とは人間を狂わせてしまう程、苦しい事ということを知りました。死刑と言葉にしてしまうのは簡単ですが、死刑囚も私と同じ人間で苦しみがわかる人間だということを再確認しました。
死刑宣告を受けた青年の苦悩 ★★★★☆
を見事に描かれていると思います。
作者は実際に刑務所で勤務医をしておられ、死刑囚ともやりとりを交わした事があるようであることから
実際の体験が色濃く描かれて居るようです。
中公新書の「死刑囚の記録」にモデルとされる死刑囚が何人も出ています。

この上巻では、主人公の獄中での様子(主に主人公の周りの人間の経緯など)が書かれています。

補足ですが、この作者は死刑廃止を訴えている方だということを頭の片隅においておくとよいかもしれません。
死刑廃止論を忘れてこの小説を読んでも全く問題はないですが、
最近死刑問題を巡る論争(とまではいかなくても、マスコミなどでよく取り上げられているので)
があるので、念のため。