短期的に激しく変化する事業環境のもと、一般的にベンチャー企業では、長期にわたるビジネスプランの作成は困難であり、店頭上場審査においても3年程度の中期経営計画と長期ビジョンとの併用が通常となっているが、本書もほぼ同程度の期間を対象に、長中期の経営戦略を一体化させて策定する方式を採用している。また経営戦略の策定プロセスは事業・組織・経営機能面での戦略にブレークダウンされていくが、後者の2つについては特に組織構造変革および戦略経営へのIT活用のポイントに力点が置かれている。
日々の業務に追われるベンチャー企業では、ビジネスプランの重要性が軽視される傾向が強いために、その重要な要素である経営戦略の役割もまた、正しく理解されていないことが多い。経営戦略は経営活動の目標実現のための方策と、行動予定を決めることであり、合理的な経営活動を推進する原動力となるうえ、多くの部門、スタッフが参画した場合には、より戦略の実行と競争優位性の確保を容易にする。ベンチャー企業経営幹部におすすめの1冊である。(徳崎 進)
実際に経営戦略策定を行う方には、もっと泥臭い作業が伴い、多くの反対者との交渉が発生し、更なる論理武装が必要だということを認識して頂きたいと思います。
図を多用し、具体的なアウトプットイメージを示している点など、随所に工夫が見られます。一般知識としてつかんでおくのには良い書物だと思います。
ただし、あくまでも策定のツールですので、策定過程における人の問題・抵抗、組織の問題・障害などに対する解決策はほとんど書いてありません。
なお、今後、主流となると考えられる戦略的な行政経営の実現(まだその萌芽が出たばかりですが)に向けては、行政職員の方々にも大いに参考にして頂きたいと思います。ここに書かれているような方法を取ろうと思えば、行政職員の桊??が苦手な「白紙からの議論」「ホワイトボードに書き込みながらの議論」というのをせざるを得なくなります。そのような議論をすることが、既に行政経営の改革の第一歩だと思います。
あと、タイトルを見れば分かると思いますがこの本は上級ビジネスマン向けです。私は少し背伸びして読んでみましたが、知らない用語や略語が頻繁に登場してきました。