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十二夜 (岩波文庫)

価格: ¥504
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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異国名作喜劇を楽しむ ★★★☆☆
☆3/3(もっと早く出会いたかった!おもしろかった)

人違いを用いた、シェイクスピアの最も人気ある喜劇作品の一つです。
なによりどの人物も生き生きと描かれ、実際の劇を見なくてもその辺にいそうな人物として容易に想像できる者たちが、
この割と短めの5幕からはみでるかとばかりに面白おかしく大暴れしてくれます。
特に自分のはまった笑いのツボは、前半のオリヴィアの変化の早さ、そしてやはりマルヴォーリオの手紙の場面でした。

また、悲劇創作への移行期にあって一筋の哀愁も流れています。

ところでこれは喜劇の台本作品ですが、不慣れな方が楽しむには常にこれが劇であることを想像すること以上に前提としなければならないことがあります。

それは<国民性>で、やはり日本人と、この作品の生まれた英国の人々の<笑い>は違います。
雑にいってしまえば、一つには英語の言語そのものにあらわれているような<論理性>が全ての根底にあって、どう論理がつながり破綻するのかにたえず注目しなければ何が面白いのかわからず、
またこの作品の最高の脇役の一人である、<フール(道化、おばかさん)・フェステ>の台詞に紡がれる、超難解論理的天才的言葉遊戯がさっぱりわけわからず楽しめないでしょう。

それを解決するひとつ有効な手段は、ちょっとでも「ハテナ??」と思ったら訳者註(本当は詳しい註付きの原書がベスト)を一回一回参照することです。

最初は面倒かもしれませんが、人生や人間を探求したい人は、シェイクスピア作品にその手間を掛ける以上のものをきっと見いだせるでしょう。

シェイクスピアは食わず嫌い、という人にオススメ ★★★★☆
「生きるべきか死ぬべきか」(ハムレット)、「あなたはどうしてロミオなの?」(ロミオとジュリエット)など、「うわっ、読みたくねー」と思わせる台詞で有名な(笑)シェイクスピア戯曲ですが、これは出だしから惹きこまれます。冒頭の台詞がいい。

大場建治氏の本にも、「ハムレット」を中心とするのが第一次シェイクスピア・ブームだとすると、最近は「十二夜」から始まった第二次シェイクスピア・ブームだとか。

双子の兄妹が舞台に立つところは、どう演じるのでしょうか。もちろん双子の俳優がいない場合の話。
調べたところ、
1.二人の俳優があまり似ていなくても「双子だ!」ということにしてしまう
2.片方は客席に後姿を向けた他の俳優が演じる
というのが主な方法らしいです。
私は、2のほうを思い描いてました。しかし、あれは似てない俳優が双子を演じるからイイのだ、それがこの芝居の本質なのだ、という意見もあって、ナルホドと思った。でも私は「後姿」派です。
男装の麗人ヴァイオラ ★★★★★
他の多くのシェイクスピアの喜劇と同じように、この劇でも女性が男装し、逆説的だが本来の自分を出せることになる。従順で控えめな女性ヴァイオラは男装したことにより本来彼女の持っている機知を発揮できることになる。逆境に耐えつつ健気に道を切り開くヴァイオラの姿はとても美しい。シェイクスピアの喜劇の中でも特におすすめ。
十二夜 ★★★★★
私は大学の卒業論文で、十二夜を研究しています。
シェイクスピアの作品の中でも、お気に入りの一つです。
読み返すたびにおもしろい発見があり、
手放すことができません。
このおもしろさや、自分で発見したことを、
卒業論文に生かせるといいなぁと思っています。
シェイクスピア喜劇の代表作 ★★★★★
シェイクスピア劇に登場する道化には二つのタイプがある。愚かで皆に笑われる道化と、王侯貴族に仕える、機知に富み歌に巧みな宮廷の道化のふたつ。後者は普通「賢い道化」と呼ばれる。宮廷人に向かって無礼を口にしても許される特権があり、職業的なユーモアリストで、現在のコメディアンに相当するのだろう。「十二夜」のフェステはこの代表的な道化。ーー上手に人を笑わせるためには、時と場所を心得ていなければならない。賢い道化であるためには、人並み優れた観察力が必要だろう。

この道化の人間性に鋭く食い込む人物がいる。男装のヒロイン、ヴァイオラだ。彼女は幕が降りる直前まで自分が女であることを隠している。だが、男装しているからこそ見えてくるものがある。男として語らなければならな!!いからこそ、どうしても頭をもたげてくる自分の中の女に気づいてしまう。

音楽を催促する公爵の言葉で幕が開き、フェステのうたう陽気な歌で幕を下ろす。シェイクスピア喜劇の代表作として、この「十二夜」を挙げる人は多い。