時代とともに生きてきた岩波新書
★★★★★
岩波新書は昭和13年11月20日発行斎藤茂吉著『万葉秀歌』を初めとして平成18年3月22日発行『いま平和とは』まで2505冊が発行されている。赤版、青版、黄版、新赤版と装いを変えながら、教養書を中心に現代の視点も加味している。「現代人の現代的教養」を発刊の目的に掲げている。戦争体制一色化への知的抵抗の糧となってほしいの願望もこもっている。赤版の時代は「文化建設の一兵卒として」、青版の時代は「国民大衆に精神的自立の糧を提供せん」、黄版の時代は「戦後はすでに終焉を見た」、新赤版の時代は「新世紀につながる時代に対応したい」という特徴をもっていた。豊かにして強い人間性に基づく文化の創出、その希いは最も切実である(雅)
岩波新書総目録の改訂版
★★★★☆
思想史家・鹿野政直氏が,これまでの岩波新書を通じてあぶり出す,現代の思想史。
一人の著者の視点から岩波新書の果たした思想史上の役割をたどった一冊であり,そのまま岩波新書の読書ガイドとなっている。
「別冊9」として出された本書は,別冊1「岩波新書の50年」(1988年)や別冊5「岩波新書を読む」(1998年)の改訂版としても位置付けられている。
著者には「近代日本思想案内」(岩波文庫別冊)という問題群ごとにまとめられた著書があるが,本書は岩波新書の出版時期(旧赤版−青版−黄版−新赤版)を追って書かれている点に特徴がある。
ただし,内容的には,テーマごとにまとめた方が読みやすかったように思うので,☆4つ。