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情報科学のための自然言語学入門―ことばで探る脳のしくみ

価格: ¥2,205
カテゴリ: 単行本
ブランド: 丸善
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一般教養の授業に使用しました ★★★★☆
文系学生向け一般教養「言語学」で使用してみました。確かに紹介されている内容はXバー理論に限定されていますが、英語の教師になるわけではない一般の学生にとっては、あれこれ言語学の基礎を並べるよりも、「言語学の何がおもしろいのか」が良く分かるほうが有効だと思います。その点、Xバー理論に絞って分かりやすい筆致で書かれた本書は評価できると思います。
素人騙しの1冊。 ★★☆☆☆
日本語と英語が世界の標準だとでも言いたいのだろうか?
とは言え、X'理論自体が英語中心主義的に誕生した理論だからなぁ……。
子供が非文を判定できるのが、ア・プリオリで直感的?
基準(スイッチングだろうが何だろうが、とにかく「獲得」した文法)無しに、正否なんて判断できるわけもなく、従って、それは文法の確定に後続する、ア・ポステリオリなものとしてしか考えられまいに。
12個あるという理論が、2^12=4096で、言語数(この本では3〜5千とされている)に適合すると言い、それを正当化の道具としようとしているが、それこそ抉じ付けに過ぎない。
それとも、世界の言語の数は本当に、絶対的に、その数値であるとでも、傲慢に言いたいのか。
ヒドイ。
ポイントを絞って「ことばで科学する」ということをわかりやすく紹介 ★★★★★
 生成文法の入門書としてはもの足りないし、情報科学としての言語学入門としては必要な概念がでてこない、なぜ?・・・これが私の一読目の感想でした。
 しかし、この本を読むのは生成文法の最新の動向を知りたい人でもなければ、計算機科学を全く知らない、私のような文系人間でもない。対象になっているのは、これから工学の分野に進もうとする人、もしくは進んでいる人で生成文法の発想法と基本的概念が知りたいという人です。二読目にこのことにしっかり気づき、この本はこのような目的にかなった画期的な本だと言えます。
 筆者が述べるように、この本は、言語に対する科学的接近法とはどのようなものか、というものです(本書にはもっとわかりやすくかいてあります)。そしてそれを通じて、「科学的思考法」とはどのようなものかを説き起こしていきます。説明は簡易平明、しかしそこでは自然に科学哲学の諸概念に導かれていきます。また、科学者としての言語学者がどのようにして言語と格闘するか、その実践も垣間見せてくれます。
 一般に入門書、特に日本の入門書は難しすぎると言われることがあります(私は入門書が一番むずかしい、と思っています)。それはとても薄い一冊でその領域を網羅しようとするためで、欧米の入門書の厚さと対象的です。しかしこの本は薄いにも関わらず、非常にわかりやすい。これはやはりX'理論を狙い撃ちしているためです。この本を読んでわかったのは、生成文法を知りたいと思っている理系の学生(もしかすると理系の学生に限られないかもし)に、一番最初に話す生成文法のトピックとしてX'理論はとても適切なものだと思います。生成文法の発想法(自然科学としての言語学)を知るには、X'理論は極めて簡素な道具立てで、極めて公汎な現象と再構築できるモデルであり、様々な言語の骨組みの多様性がたった一つの媒介変項の値の選び方、しかもその値のdomainは二値であることをきっと面白いと感じる方は多いだろう。そしてこれが実際に人間の心/脳のなかでどのような形でおこっているかという仮説がわかりやすい絵で示されています。
 ただ、言語の多様性について大雑把すぎる説明があります。手元にあるConcise Compendium of the World's Languagesで取りあげられている言語は現在使われていない言語も含め113、これはもちろん少なすぎで、『言語科学の百科事典』の付録では4000以上と述べられています。本書では3000から5000とされていますが、
この言語の多様性に対する説明が与えられています(8.言語獲得のなぞを解く)。しかしこれは延べ個数といえ、統語構造上の異なり個数を無視したものです。Hindu, Urdu, Benghalは政治的な理由から別の言語とされていますが、実は同一の言語で、このようなものもありますし、もっと理論的に興味深いレベルで異なり個数にしない方がいいものも
あるかもしれません。本書の解決案はたしかに簡潔で美しいのですが、実際には様々な事情を無視して成り立つ話です。このような、本書への「つっこみ」は本書を読み終えた読者に残された「楽しみ」であり、本書のはじめに描写されている、講義における学生さん方とのバトルを楽しむ筆者にとって、読者がさらにこのようなことなど、様々な点について深く考えていくことを筆者は望むに違いありません。説明の便宜上、話を単純化することは必要であり、その意味でこの入門書は言語に対する科学的アプローチを押し込むだけでなく、さらにそのあとへの関心に開かれた「寸止め」の良書といえます。
もっぱら生成文法入門 ★★☆☆☆
タイトルとは異なり内容は,もっぱら生成文法入門。まったくの初心者専用。
内容としては信頼できるのだろうが,しかし,初心者がうきうきするほどには,生成文法を魅力的に描けていない。ただし,丁寧な読書案内があるので,それらを読むための下準備としてさっと読むのはいいだろう。
情報科学についての話題はほとんど無いにもかかわらずこのタイトルはいかがなものか。
気鋭の生成文法家の絶好の入門書 ★★★★★
 最近特にご活躍されている畠山氏の注文されている書のひとつ。
 非常にわかりやすい筆致でありながら、生成文法的なアプローチ、人間の脳の仕組みについて、高度な議論へ導いていく。
 「情報科学のため」とあるが、広く言語に関心ある人全てに読んでもらいたいと切に願う。