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悪党

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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薬丸岳4作目 ★★★★★
「天使のナイフ」、「闇の底」、「虚夢」に続く4作目。乱歩賞受賞以来、毎年、着実に1冊ずつ新作をだされています。しかもどれも質が高く、読み始めるとグッと引き込まれ、読み続けずにはいられなくなる作品ばかりです。

今回の「悪党」は、角川書店の「野性時代」に掲載された連作で、基本、1話完結という形式になっています。

犯罪被害者家族からの依頼で加害者の追跡調査をいくつか実施していく中で、自らも犯罪被害者遺族である主人公・佐伯が、姉を殺した加害者達を追跡調査していくという形で話が進んでいきます。

加害者たちを追跡調査していく中で発覚する数々の事実を佐伯が葛藤しながら受け止めていく姿には心が痛くなります。
犯罪被害者の心模様。 ★★★★☆
 姉を殺された主人公たる犯罪被害者遺族の心の中を筆者は、「ゆかりを殺した人間への憎しみや、平気で人を傷つけ犯罪に手を染める者への怒りであふれている。憎しみは激しい焔となって心の中を焼き尽くす。その焔によって私は多くの人を傷つけてきた。」「私の心の中にある焔は時間が経てば自然と鎮まっていくものだろうか。それとも、私が死ぬまで燃えさかり続けるものなのか。」と表現します。

 父の言葉として、「いつでも笑っていいんだぞ。いや、笑えるようにならなきゃいけないんだぞ。おれたちは絶対に不幸になっちゃいけないんだ。」とも。

 その一方で10年の刑を終えて出所して暫く経った実行犯に「(遺族に)何を書いたとしても言ったとしても嘘っぱちになっちまいます。俺は別に事件に関して反省もしていないし、」誰かに謝りたいって気持ちもまったくありません。」と語らせ、当時の現場も描写します。

 この怒りを読者も共有する形で物語は進むのですが、果たしてこんなに長期間、遺族は怒りを維持し続けられるものなのか?
 そうであるなら、それこそ遺族は死ぬまで救われないのではないか?
 
 実行犯の死刑中止を法務相に訴えた原田正治氏の『弟を殺した彼と、僕』を読んでいるから、私がこう思うというだけではなく、原田氏の言う「赦し」をもってせねば、いそれこそ死ぬまで遺族は救われる時が来ない。

 その時をどう迎えるよう周囲が導き、遺族自身もどう受け止めるのかまでを小説に求めるのは酷というものでしょうが、小説であるが故にそのあたりにももっと踏み込んで欲しかった。

 踏み込めば、こんなにスラスラとは読めないのでしょうがね。
犯罪被害者と犯罪加害者の葛藤 ★★★★☆
「犯罪の被害に遭った人向けの犯罪前歴者の追加調査」という仕事を引き受ける探偵事務所で働く佐伯。佐伯自身も15年前に姉を殺害された犯罪被害者であり、姉の無念を晴らすため加害者を捜索するとともに、復讐の手段を考えていた。
犯罪被害者は、刑期を終えた加害者がその後どうなったのかを普通は知ることができない。仮に知ったとしても、加害者が反省しているのか、どのような生き方をしていたら赦せるのか、判断するのは難しい。主人公の佐伯自身が、犯罪被害者として加害者をどう赦すべきか答えが見つけられず苦悩する様子や、犯罪被害者と犯罪加害者の葛藤など、読み応えがある作品だった。
ただの重い内容なだけではない。 ★★★★★
薬丸岳さんの作品ではこれがイチ押しです。 加害者遺族の精神面を描いた作品は他にも沢山あると思いますが、この作品が他と一線を画す点は主人公の成長だと思います。 最初は復讐心の塊だった修一が様々な人と関わっていくうちに変化していく様子には目が離せません。 ラストは思わず拍手したくなるほど微笑ましいシーンでした。 加害者側の親子関係なども丁寧に描かれており、とても興味深い作品だと思います。  
次回は別のジャンルを書いた薬丸岳も読んでみたい。 ★★★★☆
本当に旨い作家になってきた。犯罪者の心理を中心に描いてきた社会派ミステリーの数々は、ある意味ワンパターンと思う人もいると思うが、探偵事務所を舞台とした設定、連作長編、そして登場人物の会話の冥利は今までの作品とは一味違う。本作品の続編も読んでみたい気もするが、そろそろ別のジャンルに挑んだ薬丸岳を読んでみたい。本当に1年に一作しか書かない作家だけれど、駄作、凡作は一切無い。