2nd『Pause』で
フォークトロニカを代表する
アーティストとしての評価を得、
さらにその世界観を広げた
傑作3rd『Rounds』から約2年ぶりの4thでは
それらのイメージを自らうち破る
力強さと繊細さの両面を融合した
ポジティブでダイナミックな作品を
作り上げた。
リード・トラックから、いきなり
タイトなブレイクビーツ&ドラム・ビーツを
繰り出し、その情熱的な展開で度肝を抜く。
フジ・ロック出演時の
サウンド・チェック・ノイズを使用したり
さまざまなSEやノイズを
コラージュ的に挟みこみつつ
オーガニックでドリーミーなトラックと
コントラストをみせながら
ヒップホップやテクノの影響を受けた
強靱なビート感覚を披露する。
過去にやったことを繰り返さず、という
キエランの強い意志が
バンド・サウンドにまで昇華した
そのビートに表れている。
ベル音や小刻みなエレクトロ・エレメンツと
せめぎ合うように
エレクトロ・ビートをたたき込み、
アブストラクトなドラムを
機関銃のように打つ。
しかし、
ただのビート・アルバムにならないのは
やはり、フォー・テット。
ガムランを思わせる電子音を
空間に広げてみせた
アンビエントなトラックで
締めくくる。
さすが、天才的な
サウンド・メーカー。
4作目の今作は、1stのジャズ、2nd/3rdのエレクトロの要素が
強かったのに比べて、リズムが断然に強い。
3rd収録の"She Moves She"のような、必殺なポップ要素は減ったが、
1曲目からして、アフロビートすら感じさせるリズムが鳴り響く。
街に出て踊りたくなるようなトラック、らしい。
大きな音で響かせよう。