やりたい放題にやっているだけのようだが、結局そのために驚くほどの精彩を放っているアルバム。『Volume IV』は、初期のジョー・ジャクソンのヒット曲、たとえば「One More Time」や「Is She Really Going Out with Him?」あたりの気分を漂わせている。カタカタと鳴るドラム、きしるようなギター、目まぐるしく動き回るキーボード、うなるようなヴォーカル、語呂合わせやダブル・ミーニングでいっぱいの歌詞。ジャクソンがニュー・ウェイヴ・ポップ路線を受け継ぎ、おしゃべりで意地の悪い姿勢を見せていた、70年代前半や80年代後半に戻ったような内容なのだ。しかし、ジャクソンはノスタルジアに骨抜きにされてしまうような愚か者ではない。ここでの彼は、昔の衣装の内側から、中年となった現在に苦々しく思いをはせている。その最良の成果である「Blue Flame」と「Still Alive」は、今までのジャクソンの曲に劣らず素晴らしい。『Volume IV』は、彼の旅の終わりを告げる作品だ。かつての自分のバンドと再び合流し、ライヴからテープへという本来の録音スタイルに戻ることで、自分自身を再発見したジャクソンがここにいる。(Andrew Mueller, Amazon.com)