いい本だが、全部が正しいとは思えない。
★★★☆☆
私も加圧トレーニングを行っており、トレーニングの本は色々読んできたのですが
この本には良い点と、あまり信じられない部分があります。
良い点としては
・トレーニングを行っている人であれば、常識的なことですが、無酸素運動(ウェイトトレーニングなど)
の後に有酸素運動を行うことで、脂肪の消費を効率的にすること。
・成長ホルモンの作用について。
・具体的な、ダイエットのための栄養比率が示されている。
・普通のダイエット本と比べて、筋肉に対する有用性が強く書かれている。
私が納得できなかった部分として
・1日2食がダイエットには最適と言う理論。現在減量するのであれば、食事回数を3回以上に
増やすのが一般的であるのに、これに完全に逆行する考えである。これについて
科学的理論は示されておらず、佐藤氏の実体験から、と言うことを強く主張している。
現在主流の考え(一日3食以上)を覆すのであれば、科学的な裏付けがほしい。
・最後に紹介しているトレーニング方法。これにより、この本自体の意味がなくなるくらい
良くないと思いました。
成長ホルモンが大量分泌するのはあくまでも、高強度のトレーニングを短いインターバルで
行ったときに出るもので、当然10回前後のという反復回数もその回数で限界がくるから
こそ意味があるのです。この本では例えばアームカールであれば、なにも持たずに
10〜15回を3セットと示してあるが、これにより筋肉が追い込まれたり疲労することは
全くなく成長ホルモンの分泌もかなり考えづらい。
・普通の有酸素運動では、肝臓のグリコーゲンや体内の糖が消費されるためフルマラソンを
走っても脂肪は使われない、と言う感じの表現があるが、普通に考えて有酸素運動を
行えば、比率の変動はあるものの糖質と脂肪両方が消費されると考えるのが一般的で
筋力トレーニングをやらなければ、脂肪が全く消費されないという誤解を読者に与えかねない。
この本の率直な感想として、「私の体験からして〜」を強く主張している部分が多いが
佐藤氏はボディービルダーを目指して体を作ってきた人であり、一般人に伝える場合は
しっかりとした裏付けもほしい。
内容的には良い部分も非常に多かったが、これを見て一般人がいきなり1日2食の食生活に
変えたり、非常に軽い負荷のトレーニングを良しとする考えが普及するのは
私としては、あまり良くないのではないかと思う。