マンボウ氏は子供の頃病を得て入院し、そのとき昆虫図鑑を眺めて過
ごしていたことで昆虫に目覚め、やがてカナブンブンを特に好むムシヤ
(虫屋=昆虫採集家・マニア)になったという。
そんな虫の話もさることながら、航海記で全開だったホラ話がここで
も読める。レビュアーは小学生の頃にこれを読んで、ムシヤにならず雑
学に興味を示すようになってしまった。
実はこれらのホラ話こそが、マンボウ氏のユーモアはもちろん博識さ
を物語るものだということに気づいたのはずっと後のことである。
「医局記」に出てくる、博学だが決してひけらかすことのない先輩の
姿がマンボウ氏とダブって見えたのであった。