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パレスチナの歴史

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 明石書店
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中東が遠いと言っている人は是非一読を! ★★★★★
本書は、その記述の大部分を19〜20世紀、特に20世紀のパレスチナ情勢に置いている。この記述の仕方から明らかであるが、著者は、パレスチナ情勢は19世紀以前にさかのぼる問題ではないとの立場であり、従ってそれ以前の記述には殆ど意を用いていない。しかし、アラブを無前提にかばい立てしたりしているわけではない。シリア・エジプト・ヨルダンといった周辺諸国がそれぞれの思惑によってパレスチナを「食い物」にし、それによってパレスチナのアラブ住民が翻弄され痛めつけられた様子を切々と書き連ねている。
とりわけ圧巻であるのは、オスロ合意の構図を
「勝者たるイスラエルと、敗者たるアラファート・PLOの間に結ばれた、降伏条約」
と断じている点であろう。当時は「平和への第一歩」とみなされた(不詳、私もそう思った。不明を恥じつつ此処に告白する)この合意が、実は「和平」などからほど遠い、次なる悲劇と破滅への第一歩だったという事を、同時期に合意に反対した穏健派(過激派ではない!)の言葉を拾いつつ、明確に断じている。
広河隆一氏の一連の著作と並び、中東問題を研究する者にとっては必読、不可欠の一冊であろう。