根っこは.....繋がってる
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【渓(たに)をわたる風】のタイトル通り、山毛欅の森を撫でる風、
焚火の傍ら煙る風、雨あがり...きらめきを増す緑の風、
逝った友の声のようにささやく風、耳をすます...すます。
目に見えるものが全てではないと、改めて感じさせてくれる作品だ。
2000年の夏、【黒谷川残照】を読んで静かに泣いた。
その文章は、4年経った今、土に還ったような気がする。
ひとりの読者であるわたしにも聞えてくる。
「生きなさいよ、恰好悪くていいじゃない」
風が見えた。とびきりの笑顔が浮かんだ。
「闇は暗いものだけれど、暗いだけが闇ではない」
著者なら、きっとそう言うだろうと、わたしは勝手に思っている。