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ひとりぼっちのジョージ―最後のガラパゴスゾウガメからの伝言

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 早川書房
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自然保護とは何か? ★★★☆☆
 ガラパゴスゾウガメの一亜種、そのたった一頭の生き残りである「ジョージ」をめぐる物語。カメのことよりもむしろ、カメ一頭に血道をあげる人びとや、自然保護活動において無視される島の住民たちの生活の方が気になって仕方がなかった。単なるゾウガメ賛美の書と受け取るか、それとも自然保護とは本当は何なのかについて考え始めるきっかけとするか、すべては読者の力量にかかっている。
生物学や環境保護が好きなら、お勧め ★★★★★

 ――ジョージって誰だ?

 【ロンサム・ジョージのプロフィール】
  ・出身はガラパゴス諸島のビンタ島。
  ・体重88kg、甲羅の長さ102cm。
  ・推定で80歳代。人間で言えば壮年にあたる。
  ・草食。低木やサボテンの葉をかじるため首が長く、
   前方のへりがめくれあがる鞍型の甲羅を持っている。
  ・近縁種のメスのカメにまったく興味を示さず、
   性的不能ではないかと疑われている。
  ・『ゴルゴ13』に登場し、暗殺者に命を狙われた。
  ・実際に、ガラパゴス諸島近海のナマコ漁のいざこざ
   をめぐり、殺してやると脅された。

            (本書帯封より引用)

 ふむふむ。

 ダーウィンが進化論を組み立てるきっかけとなったのは、ガラパゴス諸島での短い体験だったといわれています。
 「諸島」であるにも関わらず、島によって全く違う生態系、近縁種なのに一つとして同じものが重なっていない独立性。
 そうしたもののなかから「生物は環境に適応して進化するのではないか」という仮説が生まれてきたといわれていますが、このジョージは、ガラパゴスゾウガメの一種。

 ゾウガメは食糧になり、なかなかに美味であるため(食べたことないけど、そうらしい。確かに日本でもすっぽんを食べるよね)、昔から捕鯨船や海賊の食料として、ガラパゴスでは乱獲されてきたのだそうです。
 結果として、ゾウガメは一時期絶滅寸前になり、ビンタ島では20世紀初頭に絶滅したと思われていたものの、1971年に最後の一頭が発見される・・・

 それが、ひとりぼっちのジョージ。
 ダーウィン研究所ではさっそくジョージを保護して、なんとか子孫を残そうとあの手この手を使います。この本では、その経緯や、ゾウガメ、絶滅危惧種をめぐる社会問題などが簡潔かつ具体的な事例でまとめられていて、読んでいて飽きないし、この分野で努力している人の姿がよく分かります。

 まあ、ガラパゴスに行きたくなるのは間違いない。
 お勧めです。