地球儀を回してみて
★★★★★
子供たちの瞳は実に美しい。自分はトットちゃんを未だ読んではいない。でもこの本を読んだので自然と読む気になっている。世界中のこどもは皆平等であるはずだが、戦争があったり、飢饉があったり、病気になったり、親のエゴで死んだり、悲しい現実が漂っている。このようなことを小さいうちから教えたかどうか、大人になってみたときに真価が問われる。
豊かになりすぎると幸せを感じられないのかもしれない
★★★★☆
ユニセフの親善大使の黒柳徹子さんと、チェルノブイリやイラクへの医療支援を行っている鎌田實さんの対談です。
日本よりはるかに貧しい国で出会ったエピソードを紹介しあいながら、二人のはなしは、自然と生い立ちや家族、生きる力を与えてくれた恩師の教えに続いていきます。
子どもの頃の体験が『窓ぎわのトットちゃん』で有名になった黒柳さんは、最近よくきくLD(学習障害)の代表のようにいわれます。
でも、黒柳さんは、自分がLDだったかどうかなんて気にしていません。落ち着きがない子だった黒柳さんは、すべてを受け入れてくれる先生に出会い、自分を信じることができるようになったからです。
鎌田さんは、心臓に病気をかかえる母親と、治療費を工面するため一生懸命はたらく父親に育てられました。
鎌田さんが医学部へ進むとき、鎌田さんは、2つの約束をさせられました。
ひとつは、弱い人を大事にする医師になること。もうひとつは、自分の責任の中で生きていけ、ということでした。
東京の国立大学を卒業して、“都落ち”と言われながら信州の病院へ就職することを決めたときも、チェルノブイリやイラクの病院を支援すると決めたときも、父親との約束が背中を押してくれます。
そんな2人が、国際的な活動をするようになって感じたのは、日本人の生きる力が弱くなっているのではないかということでした。
日本で子どもたちが生き生きとしている姿を見ることは少なくなり、日本よりずっと貧しくて大変な環境で生きている子どもたちのほうがもっと目を輝かせている。
「何かぼくたちの国づくりは間違っていたんじゃないかと
考えさせられる」
と鎌田さんは語ります。
こういう本は速読に向きません。
私も、1日1章ずつ、いとおしむように読ませてもらいました。
ゆっくりと、2人の会話に耳をかたむけてみましょう。
リアリストトットちゃんだからこそ心に響いた
★★★★★
トットちゃんといえばユニセフ。
本書でもやはりイランやアフガン、そして戦争と平和についても書かれているのが、
それと同じくらい現在の日本の家族のありかたについても語られている。
子供の孤食・小子化・児童虐待が叫ばれている世の中で 子供にとって、そして大人に
とっても一番大事な「家族」というコミュニティ。「昔はよかった」とただ振り返る
のではなく、純粋に「家族」にたいして感謝の気持ちを持たせてしまうのは黒柳氏・鎌田氏の人間性なのだろうか。
そして、家族という身近なケースでのお話が、世界のお話と自然につながっていく。
はじめから世界平和だと、なかなか現実として感じにくいのだが、黒柳氏の上手な語り口で
世界もまた自分とつながっているものだと素直に感じることができた。
「日本にも困っている人がいるのに、なぜ外国の人を助けようとするの?」
そんな疑問にも答えている。この問いに対する答えが、胸を打たれた。
きれいごとなんて何も言わないトットちゃん。
私も「偽善と思われてもいい。何かしなくては」と素直に感じた。
救うの意味って?
★★★★★
この本は世界をちょっと救うきっかけである。世界を救うのに今のところ特効薬はないから。一人一人が少しずつ世界をよくしようと思う。その積み重ねが世界を少しずつ救っていくのだろう。
この救うという意味を深く掘り下げてもらえば、よりよい本になったと思う。
本の内容から・・ちなみに、お礼の手紙はお出ししていない。八十円切手分で、ひとりの子どものいのちを救えるから。この場をかりて、お礼を申し上げます。
この表現で私は黒柳さんが失われつつある命が助かった場合に救うと考えているのだと思った。八十円では、その子を育てあげるには足りないだろうから。
私なら、私の命が助かっただけでは嫌だろうなと思う。贅沢だと思うだろうが、私がその立場に置かれた場合に、必至になって幸せになろうとしても、幸せになれないなら、命が助かったことを私は救われたとは思わないだろうから。だから、命が助かった後、その子達がどのような人生を送ったのか、その子が周りに与えた影響はどうなのか、もっと深く掘り下げて、納得のいく説明をして欲しかった。
それでもこの本は二人の真摯な思いと温かな心が込められており、素晴らしい本であることには変わりない。お勧めの本である。
世界は広い
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とても感動しました。私にも子供がいますが、日々の忙しさにかまけてついつい自分の都合で叱ったりしてしまいます。子供が生きているということだけでもすばらしいという地域がいくつもあるんだ、ということを思い知らされました。