変革を進めるステップについて、その考え方と手順を説明した一冊です。

やや分量が多いですが、基本に沿ってきちんとまとめられており、変革推進の基本セオリーを学びたい人には参考になると思います。

ただ、企業で変革を進める上でもっとも大きな課題は、変革への抵抗にどう対処するかだと思います。

日本企業の多くが変革に取り組みながら、結局、変革が途中で失速したり、空中分解してしまっているのは、機械的に変革を進めようして、その抵抗にきちんと対処する術が弱いからだと感じています。

そうした意味で、本書には変革への抵抗についてあまり適切なアドバイスがなく、肝心なところが抜けている印象です。

　本書は、エリックシュミット氏から『現代のダイナミックでグローバルな情報化経済の鋭
い理解と、企業が大きな変化を受け入れる必要性を示している』とコメントされており、
目新しさはないが非常に堅実な印象を与える。著者が、過去２０年間に変革を経た５００社
以上のサンプルから、５６ケースについおて分析し、成功要因だけでなく、成功した企業が
用いた特定の実践方法やツールをつきつめた結果から編み出されたのが『９０日変革モデル』
であり、どの企業にも実践ができるモデルとなっている。

　この『９０日変革モデル』を３つのフェーズに細分化し、各章ごとにさらにどのようなス
テップを踏んでこれらのフェーズを実行していくかが事例を交えながら述べられている。

　◇フェーズ１◇
　変革リーダーは企業全体を見渡し、企業が抱える問題の調査とその原因の分析を推進する。

　◇フェーズ２◇
　企業内のそれぞれの機能がどうあるべきかというビジョンを設定する。企業はギャップ分
析を行い、現状とその企業が描く将来像を比較し、何が足りないのかを見極める。
　◇フェーズ３◇
　企業を現状から未来の状態へと変革させるための詳細な実施計画を立案する。

　という具体的な３つのフェーズを事例を交えながら紹介している。