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阿呆者

価格: ¥1,728
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新書館
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自称「贋世捨人(作家)」の文学談 ★★★★★
 痛烈でストレート、鮮やかな文学談が快く響く。
 人は心が傷ついた時、文学を求めるのである。歌は医(いや)しである。救いである。文学の基いには、癒し、救済を求める心がある。(23頁)
 私はいま六十一歳であるが、もう人間ではいたくないな、とよく思う。死がやって来れば、私はもう人間ではいられなくなり、救われるのである。人間でいる限り、どこまでも苦の世界を生きて行かなければならないのである。(74頁)
 無関心。自分にも無関心。他人にも無関心。これがいまの日本人の大部分の心であろう。いや、「空騒ぎ」の雑音が多過ぎて、何事にも無関心にならざるを得ないのである。(169頁)
 いまの私は贋世捨人(作家)として生きている。作家であるからには、どんな悪どいことでも受け容れる心の用意が必要である。必死(必ず死ぬ)の思いで受容するのである。(189頁)
 私はいつも気が沈んでいる。その罪悪感があるので、お四国遍路に行った。虫のいい考えである。私の小説のモデルにされた人はみな怒っているのである。人は卑しいと書かれると怒るのである。(213頁)
 最後の文士の歯に衣着せぬ文学談集。