インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

金輪際 (文春文庫)

価格: ¥187
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
Amazon.co.jpで確認
身を削り、命を縮める文章 ★★★★★
 車谷長吉の小説を読むのは疲れる。読むほうも金縛りに会い、真剣勝負に巻き込まれるのだから書くほうは本当に大変だろうと思う。真剣勝負は疲れるが得るものも確実に多い。作者に本当に感謝である。
 印象に最も残った短編は「金輪際」でした。この最後の文だけでも立ち読みしてみたら、もう離れられなくなると思いますよ。
 「児玉まで」はどこか「赤目」の習作っぽい作品で楽しい。「変」はめずらしく軽いエッセイ風だがそうは簡単にはならない、馬鹿正直な作者に共感至極。
 「白黒忌」は久坂葉子という作家を読み始めるきっかけになりました。

作り物ではない迫力 ★★★★★
 車谷の作品はもう4冊目なので、少々耐性がつきました。最後の「変」を読んで、おおこれが有名な芥川賞選考委員逆恨み五寸釘事件かあ、と感じ入りました。
 一人称で書かれたものに、一番迫力を感じます。こわいものみたさで読んでます。
私小説とゆう毒 ★★★★★
著者は、「反時代的毒虫」なるものを自認しているらしい。

車谷長吉という人は、基本的に同じような話しか書かないように思う。
まるで自らの過去について言い訳を繰り返しているようで、見苦しいっちゃ見苦しい。
が、毒虫ならばそれもなっとくだ。毒虫がいくら毒を吐き出したとてただの虫になれるわけもなく、むしろ自らの罪業を重くしていくばかりなのだから。彼は鬱屈のあげく、ますます強烈な毒を吐き出してゆくことだろう。

しかも困ったことにこの毒は、麻薬のような常習性があるのだ。
ふふふふ、あなたにもおすすめするよ。

あぁ、文字の雨が降る ★★★★★
 騙り物とはいいながらも作家という人々は、これほどまでに自らを傷つけながら作品を生み出していくのか…とこれを読む辺りで、またはこの人の作品をいろいろ読む辺りでようやく認識しました。 おかしな間で繋がる個人と個人。 奇妙な同質性。 何に対して負けるているのかわからないけれど、負けを最初から容認している人々に対しては徹底的に、どこまでも勝つことはない…そんな負けた感。 世の中の二重構造、三重構造を見るようです。 そして様々なスタンスで生きている人間がいるのだなと、自分ももっと解放されたい、自由になりたいという気持ちになります。
目すべき純粋日本文学家車谷長吉さんの短編集について ★★★★★
10月末のある朝、出掛けの時間にふとワイドショーを見ると、「赤目四十八瀧心中未遂」という文学作品が映画化される、とやっていました。制作が鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」の方、大楠道代さんが出演されると聞き、そのとたん、20年ぶりに血が騒ぎました。しかし、自分は今はまっとうな社会人。その朝は自分で自分を諭し、出勤いたしました。

しかし、その何日か後、古本バザーで「赤目四十八瀧~」を見つけ、これは何かの因果に違いない、と思い購入致しました。直感は的中。久しぶりに危うい美的感覚に彩られた正しい日本文学を味わいました。楽しみのないわたしはさっそく次の日、残業で遅くなったにも関わらず(+ウチで2人の子供が待っているにも関わらず+お金ないにも関わらず)駅構内の本屋で車谷長吉さんの著作をさがしてみますと文春文庫に「金輪際」を見つけました。待ちきれず、電車の吊革にぶら下がりながら読んでみますと予想はやはり違わず、おいしい上質の小さなお菓子をむさぼるように少しずつ読みました。

マンガ家のつげ義春氏をご存知の方は、氏の作品が提供してくれる「気持ち悪い+気持ちいい」みたいな感覚にあい通じる所を見出されるかもしれません。死に通じる道をいつも意識されている方には「暗い私小説」というステレオタイプな感想ではなく、豊かな奥行き深い世界を見せてくれる作品群です。島尾敏夫、福永武彦なんかも系統だと思います(車谷さん万一これを読んでも怒らないで下さいね)。これを読んで救われるヒトというのはいる気がします。わたしもその1人です。