インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

安倍政権論―新自由主義から新保守主義へ

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 旬報社
Amazon.co.jpで確認
政治のアクションと国民感情とが解離していた理由がよく分かる ★★★★☆
もうすでに民主党の総理も二人目になっている段階で
改めてこの政権を取り上げることも酷かもしれませんが、
家にあった本書を改めて読み返してみたときに、非常に
不気味な印象が強かったので、書き起こしてみます。

本書は「安倍政権の目的は改憲による軍事大国の完成」
と言い切っています。

9条を変えて、戦争ができる国にしましょう! と。

そして、それは長年自民党が切望しつつも表出しにくかった
ものであること。近年のグローバリゼーションの中でアメリカや
財界(海外で安く物を作るのに現地の治安維持は不可欠)の
要望が高まっていたこと。などなど、単に安倍さんが極右で
タカ派だからというだけでは語れない事情もあったりします。


思い出してみると、2007年参院選で大敗した理由のひとつに
「国民感情との解離」があったと思います。

年金不安や雇用不安が渦巻く中で、この人は防衛庁の格上げとか
やってましたから「何やってんの?」っていう不信感。

しかしながら、本書を読む限り安倍さんは国民生活にはそこまで
興味がないように思えます。むしろそういったことを改憲政策の
邪魔とすら捉えていたかもしれません。
(あくまで、本書を読む限りです。)


とはいえ、改憲の議論自体はあってもいいと思っています。

しかし怖いのはここからで、そのための改憲手続法で
「おいおい、それはちょっと…」ということを平気で
押し通そうとしています。

具体的には

媒体広告のスペース配分を議席数で決める ⇒ 情報操作
教員・公務員の運動禁止 ⇒ 言論統制
利害誘導罪による市民運動の統制 ⇒ 治安維持法に近似

などなど、"自由"で"民主的"な政治とは言い難いものが
いくつも出てきます。きっと、それだけ譲れないもので
あるからこそ、国民を封殺してでも成し遂げたかったのでしょう。

しかしながら、そんな政治が信頼されるはずはありません。

これから 2010年の参院選が始まります。

今後の自民党がどう変わるのかと言う意味でも、本書は
目を通しておくべき作品だと思います。
踏み込み不足 ★★★☆☆
安倍晋三氏を、しきりに「改憲」を主張する戦後総理のなかでも稀有な存在とし
て、批判的に検証する本。
日本の軍事大国化を目指すと同時に、小泉氏の後継であることから新自由主義的
な政策をとっていることに著者は注目している。

私は著者と立場を異にしているせいか、感銘をうけた箇所は無かった。さらに、
全体的に踏み込み不足な印象を受けた。「詳しくは私の書いた専門書で」という
脚注が多かった。著者自身の考えを書き始めたと思ったら、多くは語らない(脚
注で参考文献の紹介もなし)。

前記の点から、本書は検証本である。安倍政権が終わった中で、政権に批判的で
あった人物のフィルターを知りたい人は読んでみては。ただ、著者自身の具体的な
オピニオンが書かれていない。そういった意味で、知的な面白みはない本である。
安部政権が崩壊した上で来世紀の資料となるであろう貴重な本 ★☆☆☆☆
 結局のところは安部政権があっという間に崩壊してしまったので本書の寿命も
 ごくわずかだったということができるだろう。
 新たな首相は改革を否定し、派閥政治の復活という正反対の方向へと舵をきった。
 無論、マスメディアやジャーナリズム、学会も90年代初頭と同じく派閥政治反対へと
 舵をきりつつある。
 その点で現在ではなく後世の資料としては貴重か。
安倍首相の思想と行動の源泉を解き明かした刺激的な本 ★★★★★
安倍晋三以前にも、岸信介や中曽根康弘といった「タカ派」首相は存在したが、前二者とは異なる特徴をもった首相であることが、詳細に検討されている。著者の分析によると、安倍の思想は新保守主義と新自由主義が「野合」しているとのことだが、それは支配層の意に沿った政権担当するにあたり重要な要素であるとともに、矛盾もはらんでいるという指摘が興味深かった。

岸信介については、安保改定などで強権的に支配層の要求を貫徹したイメージが強かったが、その一方で国民統合の手段として、年金や健康保険創設などの福祉国家政策を展開したとのこと。また、中曽根康弘の改憲論は明治憲法体制の復活ではなく、戦後民主主義の到達を一応踏まえざるを得ないもとで「首相公選制」に代表される彼独自のスタイルになったという分析がされていて、とても新鮮な印象を受けた。それらの比較でいっても、戦後体制を一切否定する安倍の思想というのは、出るべくして出てきたといえども、何とも特異であることを改めて感じさせられた。

安倍政権に危惧をいだく方はもちろんのこと、支持する方にとっても、安倍政権は日本をどこへ導こうとしているのかを知る上で、有益なヒントを与えてくれる書であると思う。