住宅顕信は、種田山頭火や尾崎放哉を師として、5・7・5の定型や季語にしばられない、自由律俳句をつくった。発病してから逝去までのわずか2年数か月に詠まれた句は281句。そのうちのほんの一端を紹介してみる。
あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる
月、静かに氷枕の氷がくずれる
かあちゃんが言えて母のない子よ
淋しさは夜の電話の黒い光沢
許されたシャワーが朝の虹となる
ゆかりの品々や幼時からの写真をちりばめた、中村裕編略年譜が秀逸だ。また、各執筆者が引用した顕信の句が、巻末に50音順に掲載されていて、句集の役割をしているのもうれしい。(中村えつこ)
表題にもなっている
若さとはこんな淋しい春なのか
は彼の句です。
小林恭二がまるまる1冊書いているのかと思って購入したので,少しあてが外れましたが,
心に引っかかるいくつかの句に出会えたので,結果よかったです。
でもこの俳人にはじめてふれるのは,この読本よりも単独の句集のほうがふさわしい気がします。