全318ページのうち、家族療法の歴史や理論が約75ページ、文献紹介が約215ページという構成です。つまり、本書の約2/3は文献紹介に費やされています。

私は家族療法の各流派の理論について知りたくて本書を購入したので、買った当初は内容に不満足でした。しかし、家族療法を深く学んでいくにつれ、文献紹介のページが非常に役に立つことが分かりました。
家族療法の歴史を作り上げて来た重要な105の文献について非常に丁寧な解説がなされており、これらのレビューは文献を調べて研究を進めていくうえで大変参考になります。また、この文献紹介のページを眺めているだけでも、研究に対するモチベーションが上がります。
歴史や理論について書かれた約75ページも素晴らしい出来であり、何度も何度も読み返して自分の知識の整理に役立てています。

本書は私にとって家族療法のバイブルのような存在です。奥深い家族療法の世界へ漕ぎ出す際の、ネットで言えばポータルサイトのような存在です。家族療法のことで調べたいことがあれば、私はまず本書を手にします。そして、そこから次のステップへと進みます。

値段が高いのがネックです。それと、本書は決して入門書ではありません。それを踏まえたうえで、家族療法を深く知りたいという方には本書をお勧めします。一生お付き合いできるだけの価値ある一冊だと思います。