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天才伝説 横山やすし (文春文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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面白い事は面白いが・・ ★★★★☆
植木等、藤山寛美、渥美清等、芸人を描かせたら右に出るものはいない小林氏の作品ですが、確かに面白いんですが、どの作品にも漂う愛、哀が足りないように思います。恐らく余程、やすし氏の事が嫌いだったように思います。ただじゃあ何故書いたかというと、好きなものばかりでもいけないから、書いたと私は思っております。反面、世間的には、いい人と云われている、きよしさんだったら、恐らく小林氏は書かなかったでしょう。興味の対象が違うからでしょうね。この作品を通してわかるのは、やすし氏の本当の姿を描いているところですね。やすし氏も嫌われるのをわかっているのに横山やすしを演じるところに哀しさが漂います。芸人って辛い仕事ですね。ただ、一度でもスポットライトを浴びると分かるような気がしますね。
偽善者と偽悪者 ★★★☆☆
この本を読む前から西川きよしは嫌いだった。
偽善者のニオイがするからである。

この本を読み終え、
やはり西川きよしは偽善者であったかと再認識した。

西川きよしが参議院議員にならなければ、
やっさんの最後はあんな悲惨なもんにならなかっただろう。

やっさんが生きているうちはやすきよのコンビを組まなかったのに、
死んでから、太平サブローと似非やすきよを組み、
そのやすきよのきよしを演じる西川きよしに虫唾が走る。


「やすし・きよし」が漫才で最高か?
漫才ブームで色々なコンビに笑わせてもらったが、
その前からテレビで観ていた
「いとし・こいし」「ダイマル・ラケット」の方が個人的には面白かった。
図に乗る芸人、図に乗れない芸能人 ★★★★☆
 漫才ブームの折、どの番組を見ても、”やすきよ”の漫才だけは別格扱いであった。幼心にもその扱い方には納得がいったものである。
 「天才伝説横山やすし」には自著の映画化に翻弄された著者が、目前でおきた事、聞いたことを元にしているので、小林信彦さんを通した横山やすし像が描かれている。
 そこには、まさに”図に乗る芸人”横山やすしがおり、幼少期からの数々のトラウマにより、深く複雑に屈折した人間が時流に乗り、芸人としても、頂点を極めるが、程なくして転落していく様がある。
 著者は横山やすしから信頼、かつ、甘えの対象とされた為に、遠ざけてしまい、(横山やすしがなくなった)今では”寝覚めの悪い事”と惜しんでいる。
 私が一番印象深ったのは「親からどす黒い何かを受け継いでいるんじゃないか・・・」がまさに”図に乗れない芸能人”冷めた目を持つビートたけしの一言である。その一言が横山やすしを現しているのではないか?
 
最後の東京人による上方芸能論 ★★★★☆
小林信彦は、自身も再三著書の中で述べているように、東京下町育ち
で青春を山の手で過ごした正真正銘の東京人であるが、その一方で
芸能・演芸好きの結果として関西言葉についても(ある程度の距離を
置きつつも)愛着を隠すことがない。その一方で、今やTVを制覇した
「似非関西弁」に苦言を呈するなど、東京文化の継承者としての批判
も忘れてはいない。本書は、小林の関西文化についてのそのような
スタンスを表現するかのように、関西人の目からすれば神格化され
がちな横山やすしの芸と人生についてひたすら冷徹な観察と小林自身の
やすしとの接触経験をもとにして書かれたものであり、単なる
一芸人に関する記録に留まらない、東西芸能文化比較論とも言うべき
好著である。なお、小林のもう一つの上方文化論と言える「唐獅子株式
会社」とも併読して、(映画化の際にやっさんの演じた)ダーク荒巻の
しゃべくりをやっさん風に想像してみるのも一興である。
横山やすしという名の孤独 ★★★★★
横山やすし=1・「から騒ぎ」で鼻の頭を赤く塗り、水色のブレザーを着て女の子をどづく明石家さんま、2・太平サブローのモノマネというイメージが強い。

この本のすごいところは「何が『横山やすし』という人間を芸人とし,最後に孤独な死を遂げたか」というところに着目している。特に西川きよしさんが参院選に出馬し、当選してからの転落ぶりと、担当していた女性マネージャー(大谷由里子さん)に殴られてしまうというところをみると芸能界の恐ろしさを感じる。

笑いのカリスマだが実は孤独だったと言う姿に考えさせられた人も多い。さんまさんの笑い話も考えてみるといかにやっさんが孤独な人であるかを物語っている。

私は萩本欽一さんの「一度人気が落ちないと本当にいい仕事が出来ませんよ」という言葉に大同感。芸能界というのは挫折した人間ほど人のありがたみを知る。

しかし、横山やすしという芸人は一人で何かと戦い,孤独になった。考えさせられたのが彼の生い立ちの話で、飯島愛さん同様にすごいショックを受けた。

漫才ブームから25年になるが、この人は神話でもなく、伝説だと思う。