ホメーロスの二大叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』の入門書として最適の本です。
ホメーロスの名に帰せられる両叙事詩が成立した時代背景や社会状況、伝承の経緯などの諸問題を、簡潔にして平易な文章でたいそう分かりやすく解説してくれているので、原書やその翻訳書を通読したことのない人にも安心してお薦め出来る良書です。
二大叙事詩が1人の作者の手になったものか否かをめぐる古代以来の「ホメーロス問題」に関しても、偏向することなく客観的に語られているため、読者の耳に入りやすく、誰にでも抵抗なく読むことができます。
おそらく日本人学者によって纏められた最も良心的な新書版「ホメーロスの英雄叙事詩」と云うことが出来ましょう。