傑作揃いだが中でも表紙を飾るジャミロクワイの「Virtual Insanity」、UNKLEの「Rabbit in Your Headlights」、レディオヘッドの「Street Spirit」の各PV、イギリスで史上最高のコマーシャル賞を受賞したGUINESSのコマーシャルなどが圧巻。
Virtual Insanityはあまりにも有名だが、床が動いている(ように見える)部屋でジャミロクワイのJay Kayが踊り続けるというもの。どのようにして撮影されたかはJay Kayへのインタビューで明らかにされるがジョナサンのアイデアに舌を巻く。
Rabbit in Your Headlightsはネット上でも最高のPVとの評判の作品だ。主演は映画「ポンヌフの恋人」などのドニ・ラヴァン。衝撃的な作品のため、フランスでは放送禁止となったとのこと。感動したとの感想をよく見るが、どのあたりに感動されたのだろう。感動した方にうかがいたいものだ。私は一見して宗教的なものを感じた。私にはドニの演じる「死者」がイエスキリストに見えてしょうがない。あれはまさにキリストの受難のメタファーに違いない。いずれにしても傑作である。
Street Spiritは非常に美しい。スローモーション自体は珍しくないが、同じ画面に2種類以上の時間の流れを同時に見せる手法はあまり見たことがない。
受賞したGUINESSのコマーシャルだけでなく、収められたCFはどれも素晴らしい。私はベルギービールのステラ・アルトワの2本のCFがとても好きだ。思わず声に出して笑ってしまったほどだ。しゃれたウイットに富んでいる。これらの作品を見た後では日本のコマーシャルなど二度と見たくなくなるだろう。