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運命・幽情記 (講談社文芸文庫)

価格: ¥998
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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いまさら ★★★★★
喋々を要しないであろう巨大叙事詩「運命」。力強くまた宝石をちりばめたような文語で綴られた、血生臭い戦記であり明朝初期の一大悲劇である。
一転して「幽情記」はロマンティックで典雅な恋物語がメインで、露伴が単なるコワモテの学士ではなく甘美な詩情というものを十二分に解していたことが知られる。中国文学の専門家にとっては、露伴が詩のみならず填詞にまで詳しかったことに、流石、と、うならされるに違いない。
巨匠の手による一大大河小説 ★★★★☆
中国は明の時代の話で、建文帝の王位をその叔父である燕王が武力で奪い、永楽帝として即位したいわゆる靖難の変と、その後のこの二人の生涯を描いた作品。
 互いの緊迫する戦の駆け引きや読んでいて覚えきれなくなってしまう程の、両軍の大勢の家臣や武将が激しく戦う有様がこと細かく描かれており、さながら大河ドラマを見ているようでした。けれど著者露伴が本当にスポットを当てて描いているのは、これら詳細ながらも雄大な戦の様子でなく、なんと言ってもやはり題名の通り、すべての人々を操っている「運命」ではないだろうかと思いました。建文帝の没落してゆくのも、永楽帝の一時の成功を収めるのも、群雄割拠する軍勢の敗北しあるいは勝利するのも、登場人物の生や死も、全て運命の必然によって導かれてゆくままにしかならない。人々を如何ともし難い力で翻弄する運命の不思議さ。そういったことを、読んでいて強く感じ、読後には何だかはかない・ため息をつきたくなるような気分にもさせられてしまいました。大きくて深い運命というテーマ。そしてそんなテーマを描くにふさわしい堂々たる漢文体の名文。さすがは文豪と呼ばれた露伴の作品であると思いました。
 壮大なスケールで、数多の登場人物たちが敵味方入り乱れ、運命に操られる駒の如くに没落・または一時の成功を収める様子が見事に描かれている、まさに、巨匠の手による一大大河小説。けれど、文体はほぼ漢文の書き下し文のようなものに等しく難解極まりなく、読むのはかなり苦労すると思われます。よって、星を一つ減らして、四ツ星。
 併集の『幽情記』は、露伴が「灯前茶後の閑事業」としてかいた、どれも漢詩に関わる話を集めた作品。『運命』と比べ、こちらはまさに小品といった感じ。漢詩にまつわる露伴の該博な知識には感嘆いたしました。