EQ理論提唱者によるビジネス書
★★★★☆
EQの正式な名称は Emotional Intelligence(感情をうまく使いこなすための
知能)といいます。1990年にピーター・サロベイ(著者)とジョン・メイヤーが
世界で最初に、
「相手の感情を理解したり、自分の感情を上手に表現する人はよい人間関係を作
り上げる。目標を達成するまで前向きな感情を維持する人は社会で成功する可能
性が高い。そのような働きをする知能がEmotional Intelligence である」
という理論を提唱しました。アメリカの「タイム」誌でEmotional Intelligence
の特集記事が掲載されたとき、IQ(Intelligence Quotient)をもじってEQと呼び
名を変えて紹介され、そのニックネームのほうが一般的になってしまったことの
ようです。ですので、本書の原題も「The Emotional Intelligence Manager」と
なっています。
本書はEIを最初に提唱したピーター・サロベイが始めて一般ビジネスパーソン
向けに著したビジネス書です。学者だけあって原注(レファレンス)がしっかり
示してあり、一般啓発本にありがちな誇張や行き過ぎた効用などは押さえられて
おり、EIの基本を理解するに当たっての良書といえるのではないでしょうか。
というのはEQ理論から派生した啓発本の中には、「EQの高い人はIQの高い人より
高いパフォーマンスを示す」「成功したエグゼクティブは押しなべてEQの測定値
が高い」といったオーバーなことを書いていますが、本書ではそのような記述は
なく、EIが未発達な人で、成功しているビジネス・パーソンは実際に多く存在す
ることも明らかにしています。IEの理論を提唱しながらその有効範囲や限界に言
及しているのはむしろ好感の持てるところです。
私たちが毎日考えたり、意思決定や判断を下するにあったては感情を使ってい
るといいます。感情を意図的に無視してそっけなく理性的であろうとすれば、
好ましくない決定をすることになるといいます。もしあなたがステップ、プロセスに
当たって感情を上手にコントロールしたいと願うのであれば1冊目に読むべき
書なのではないでしょうか。
EQの高くないジャックウェルチ
★★★☆☆
一般的にはEQの高い管理者が優れた管理者とされるのだろうが、中には例外があるのが世の中の面白いところ。この本の中でも、感情に賢くないマネージャの例としてジャックウェルチが挙げられている。GEの幹部に対して「みなさんは時代遅れでほとんど価値がない」と言ってのけるのは、相手の感情を理解していない管理者の典型であろう。しかし、結果として、GEの経営幹部はウェルチの攻撃のあと、組織改革を行った。ウェルチは感情の爆発は力になることを知っていたと言えるかも知れない。この種の反例が掲載されており、本のバランスを保っている。ただ、章によって翻訳がこなれていないところがあり、読みすすめるのが難しかった。第4部だけは、翻訳ものとは思えない自然さがあり、この章が救い。
感情についての基本的な内容を押さえた教科書
★★★★☆
ポジティブシンキングとか、セルフコントロールとか言った、心の動きの一部分は自己啓発本などで、若干の知識を誰しも持っていると思う。EQマネージャーは、感情が自身に与える影響について漏れなく・重なり無く説明している点で、基本を押さえる教科書として保存しておきたい一冊。感情と気分の違いなど、内面に意識を払っているつもりでも自分では気付かない点の記述も多くあり、大変、参考になります。
感情を無視しないことの大切さ
★★★★★
本書は、ビジネス場面でいかに自分と相手の感情から発した信号を読み取り、問題解決に役立たせるかを教えてくれました。自分自身を振り返ると、今まで相手の感情より、自分の感情を大切にし、物事を進めることが多かったです。それ自体は自分のくせだと思うが、意思決定するプロセスにおいては、もっと相手の感情に目を向くことの大切さを本書から学びました。深みのある一冊だと思います。
EQが高い人とは
★★★★★
EQが高い人とは明るくて前向きなポジティブシンキングの人だと理解していたが、本書を読んでその認識をあらためた。ネガティブな感情にも向き合えることがEQが高い人だという。
本書では感情について事例を交えながら説明をし、EQの高いとはどのようなことかを解説している。繰り返し読みたい本だ。