新たな社会的知性のモデル
★★★★★
本書は、「社会的知性」という概念を
人間関係に関する理性的判断能力
その理性的判断ではとても追いつかない、人間関係に関し働く神経回路が伝える非言語的情報に基づく反応能力(喜びや恐怖、他人への共感など)
の二つからなるものに定義づけようとする、新たなモデルを記した本であると思います。
内容としては、専ら後者につき、具体例(例えば、大使館に男性がピザをとりにきたとき、面接官が男性の正体を見破った事例、母子のコミニケーションなど)を交え、最近の神経科学の研究結果に基づき、脳でどのような反応が起こっているのかを説明しています。その理由は、今までの「社会的理性」の定義が、「人の理性的判断能力を人間関係に関することに限定したもの」とし、取り立てて重視すべき概念とされて来なかったという事情から、著者が「それだけではない」と主張するためにあると考えます。
この点について、私のように知識がない人には少しついていきにくい部分があるかもしれません。
また、上述のようにモデルを提示することが主題なので、論理トレーニング本のような「鍛え方」は書かれていません。
しかし、その発想はおもしろく、私は「とりあえず、言動だけでなく、歩き方、肩の動かし方、極端に言えば眉の上げ方といった一つ一つの行動にも気をつける意識をもたなきゃ」と思わされるぐらいインパクトがありました。
一読してみて損はない本だと評価します。
ふれあい
★★★☆☆
EQで有名な著者が、「社会的知性」の重要性を語った書です。
EQは、自己の内面に関するものでしたが、SQは周囲との関わり合いを題材にしています。
人間は、そもそも脳の回路自体から、他社の影響を受けざるを得ないとのこと。
社会的知性は、他者の感情を認識する「社会的意識」と、その認識に基づき行動を起こす「社会的才覚」に分かれます。
せっかく「社会的才覚」を持った人でも、自分のことで精一杯な状態では周囲に関心を向けられず、社会的知性が低くなります。
まずは他者の気持ちになり共感することが重要です。
500ページ近くの大作です。脳の説明箇所が多いのに図が殆ど無く、読み進むのに骨が折れました。
実際にSQを高めるためにはどうしたら良いか、といった記述が少なく、学術的な内容が大半であった点は、期待はずれでした。
少し難しいけど必読の書です
★★★★★
EQ理論の提唱者、ゴールマン博士の最新作です。
IQ、EQにつづく第3の知性、SQ(社会的知性)について書かれています。
《本書は、いわば『EQ〜こころの知能指数』の姉妹編である。人間の「こころの知能指数」を、こんどは別の観点、すなわち人間社会をより公範に理解するための観点から追求してみようという試みだ。》
『EQ〜こころの知能指数』を読んでいなくても楽しめる本です。
いろいろなエピソード等を書いてわかりやすく説明していますが、それでも難しい内容でした。
教育、恋愛、家庭、ビジネス等の「SQ」について書かれてあり、SQ(社会的知性)を知っていると生きていく上でいろいろと役にたつと思いました。
最近、脳とのつながりがわかってきたおかげで、「SQ」が生まれたとも感じました。
これからは、SQ(社会的知性)が重要になってくると思います。
本当の人間らしさを問う
★★★☆☆
資本主義社会では人間の価値がIQに代表されるような学歴、学習能力、要領のよさ、商才を重視され、それが社会適用には大切だと思われてきた。その一方で、学問の領域や発明創造の領域で優れた能力をもった人物でも、社会的につまり人とうまくやっていけない、挫折する等で人間的な幸福を味わえないこともある。IQよりも人とのかかわり合いを大切にできる能力や思いやり、他人の気持ちがわかる能力、共感できる能力等人間らしさ、情動を表現する能力があれば社会的に幸せな生き方ができる。人間らしく生きるには?、社会適応ができる能力をより科学的に解明し、フォーカスする必要性を問う一冊。学術的な専門用語で詳細な説明がたくさんで、素人には難解でしんどいところあります。
SQとは何か?
★★★★★
「EQ〜こころの知能指数」の続編である。最近の脳神経科学の研究で、脳の神経回路自体、他者の影響を受ける、つまり、他者の脳と反応し合っているということが分かってきた。それを踏まえて、他者との関係において懸命な行動をとれる能力について書かれている。500ページにも及ぶ大作だが、具体例を交えながら話が展開されるので、読むのにそれほど苦にならなかった。ただし、脳の部位の働きも詳しく解説は若干難しい部分もある。