まず構成に難がある。北京原人が出てくる生物学に関わる分野、幻の夏王朝、最初の王朝と確認されている殷王朝など考古学に関わる分野、孔子・孟子・老子・荘子・墨子・孫子・韓非子などを輩出し、中国思想の基礎を確立した春秋戦国時代の歴史学が担当する三つの時期を一つの本に押し込めてしまう。北京原人や夏・殷王朝などの先史時代をひとつにまとめるのは、何とか我慢できるにしても、あれだけの思想家を輩出し、政治の面でも多くの文献が残っている春秋戦国の歴史時代は一つの本でひとまとまりにした方が良かったのでは、と感じてしまう。
とはいえ、所詮復刻本、昔に企画された本を蘇らせたものだから、そんな文句をつけても仕方がない。人によっては、この本を読みとおすには、中国における人類学、考古学、古代史の他の参考書を先に読んでおく必要があるかもしれない。