西洋観が変わるかも
★★★★☆
軽妙な達意の文で綴られた、戦慄の西洋暗黒史。この狂気の残虐ぶりを普遍的な人間の業の結果と見るか、西洋人固有の業の表れと捉えるかについては議論が分かれようが、少なくとも日本人としてぜひとも知っておくべき史実だろう。魔女狩りの初期にすでにその絶望的な異様さに気づいて反対した学者や裁判官がいた、という事実を初めて知り、暗澹たる思いの中にわずかな救いを見た。
淡々と書かれてあるから余計痛々しい
★★★★☆
同じ人間同士なのに、人はいかに残虐なことをしてきたかを中世までのヨーロッパで起こった出来事で振り返る。
項目としては、魔女狩り、病気と戦争、風俗・衛生、聖書と神話、宗教など広範囲に渡っている。
読者は、いわばホラー映画観るのと同じ好奇心から手にするだろう。処刑や決闘の場面は目をそむけたくなる場面があるものの、昔のひどい衛生状態や、ギリシア神話とキリスト教の共通項は知識としてためになった。
ただ、人権尊重や男女平等という点では今と正反対のことが書いてあること、またヨーロッパのみならず世界各地で同じような行為があったことを自覚して読む必要がある。
手放しで誰にもはすすめられないから★をマイナスしたが、内容的には充実している良著だと思う。
よくある残酷本かと思ったら面白いじゃないか
★★★★★
魔女狩りの様子などの描写は文章の軽妙さで読ませるもののさして目新しさはないが
車輪を使った処刑の解説あたりからぐっと専門的で面白くなる.
四章の神話と聖書の比較や五章の子殺しのところはふつーの新書レベルをこえている.
それでもすんなり理解できるのは文章がやたらと上手のせいだろう.
タイトルがよくある残酷本にみえてしまうのがもったいない.
四章以降のところを押し出したタイトルにしたら良かったろうに.