本書の冒頭に出てくる話は、もっとすっきり、わかりやすい。
「山本権兵衛の精神ないし魂を継ぐ」という言い方は、実にすっきりしている。だから加藤友三郎、だから米内光政なのだろう。だから現場の大将である東郷ははいらず、すぐれた軍政家のみが入っているのだ。山本五十六もむろん軍政面を評価されこそすれ、司令長官としての仕事は評価されていないのである。
軍令部と海軍大臣との権限の話も、山本権兵衛までさかのぼると、すっきり理解できる。そうした意味では、井上成美も一等中将くらいにはなるわけだ。