いつかバブルス、バターカップそしてブロッサムがタウンズヴィルから引退する日が来たとしても、勧善懲悪の彼女たちの生き方はきっと変わらないだろう。この「ザ・シティ・オブ・サウンズヴィル」にはちょっと不思議な電子音の世界でテクノ・ビートを旋回させるパワーパフガールズらしい曲が満載だ。何といってもカッコイイのは、"Hearts and Stars"と最後の"Super Secret City of Soundsville Song"を除いて、収録されている17曲それぞれが、シリーズに登場するテーマやキャラクターの紹介を兼ねた曲になっている点だ。"Amoeba Boys"はアメーバっぽいボヨンボヨンした感じの曲だし、"Him"はわけありの怪しいドラマチックな雰囲気をたたえている。ちょっとお下品な"Gangreen Gang"にはガスが破裂する音がリズミカルに使われていて、"Boogie Man"ではファンキーなビートが鳴り響く。特に印象的なのは、だんだん激しくなるバックビートにのって自らの暗い境遇を暗示している"Mojo Jojo"、テクノのメロディーが空回りしている"Pokey Oaks"、これぞテクノ!と自信満々の"Mayor"、ギュイーン、ギュイーンと脈動するギターの音色がいっぱいの"Fuzzy Lumpkins"、議論がヒート・アップするようにビートを加速させていく"Professor"、"Pump Up the Volume"のような曲でノリノリの"Princess"など。ガールズたちも曲を通して自分たちの戦いぶりを表現している。ブロッサムはドキドキワクワクの戦術を考え出し、バターカップはアンプを蹴っ飛ばして暴れまくり、バブルスは女の子らしい、エアロビのインストラクターのような動きで攻撃をする。このサウンズヴィルは、とどのつまり、アニメのドタバタした世界を体現したビューンだのダーンだのビビビーンだのといった音の集まりだが、これがすごい。現実のしがらみを打ち破る爽快な1枚なのだ。しかめっ面になってきたらぜひ聴いてみてほしい。きっといい一日が約束されること請け合いだ。(Tammy La Gorce, Amazon.com)