重たい。でも今の気分を感じさせてくれる深い音楽
★★★★☆
初めて聴いた時、ん?なんだか重たい。と思った。アニーレノックスの音楽は、ユーリズミックスの80年代からのファンなので、聴いてきてはいるが、今回は以前に増して重たい。この重たさは何だろう?と、何度も聴いていると、何だかわかってくる。ライナーノーツにもあるようにこれらは、アニーの反戦への想い。怒り、悲しみ、そして祈り、愛。だから重たいのだ。彼女の、・・・「自分は戦闘地域と違う遠いところにいるのだから、戦争は対岸の火事のようなものと考えることは自分を騙しているだけ。私たちは世界の一員。・・・・」という言葉が胸に刺さってとれない。
どこか精神性の深い音楽に興味のある人にいいでしょう。深いです。アルバム全体では、やや単調に流れる感もするけれど、1曲目「ダーク・ロード」は心に浸透してゆく秀作です。また、何度か聴いてみるつもり。
アニー・レノックスは、やはりアニー・レノックス。
★★★★★
アニー・レノックス4年ぶりのソロ・アルバム。アニー・レノックスのアルバムには、やはりはずれなどなかった。圧倒的なまでに力強く、そして繊細で表現力豊かなボーカルに、幾層にも重ねられたコーラス・ワーク、高い美意識に支えられた緻密で完成されたサウンドは、相変わらずである。今作では、アニーのボーカルが一層、全面に押し出された形だ。より生の感情の露にし、自身の肉声を響かせようとする意図がうかがえる。その分、曲調やサウンドは、これまでのアルバムよりも、シンプルに押さえられている感がある。プロデューサーの変更(これまでは、Steve Lipsonがアニーのソロ・ワークを支えてきたが、今作ではGlen Ballardが採用されている)の影響もあるのかもしれない。今作には、20余名のまさに世界を代表する女性アーティストが参加した楽曲(これだけのメンツを集めてしまうこと自体、アニー・レノックスというアーティストがいかにリスペクトされているかが分かる)、「Sing」がある。しかし、その特別な楽曲ですら、アルバム全体の流れの中にうまく溶け込んでおり、20余名のさまざまな声を従えて、アニーのボーカルは一層、輝きを放っている。
このアルバムは素晴らしい
★★★★★
ソロデビューアルバム「メドゥーサ」から早10年は経っているものの、その圧倒的な存在感は
全く変わらない。「メドゥーサ」は、私の最初に音楽誌でレビューを書かせてもらったことの
ある懐かしい作品であるけれど、それ以来、久々に彼女の音のパワーにであって、感激している。間違いなく本年度の女性ソロアルバムでは、1位、2位を競う。ヴァレリー・ルリオの「キャルデラ」か、このアルバム、いずれにしても、ヨーロッパからの女性作品。
1stシングルのDark Roadは、反戦をうたい続ける彼女の嘆きをストレートに伝える好ナンバーだ。ミュージッククリップもゆったりと、激しい内容。