映画的(良い意味で)
★★★★☆
パンチェンラマと世話係(?)の幼い少年がチベット全土を疾走する描写は、さながらロードムービーのよう。
こずるかった少年が、パンチェンラマをはじめとする大人の男たちと旅をする中で精神的に成長してゆく姿も微笑ましい。
全編にわたり非常に映画的(お色気、悪者との対決、カーアクションまである!)で、そこかしこにクスッと笑う
ようなユーモアもある一方で、シリアスな問題(某国との)もバシッと押さえている。
読後は爽快であったかい気分になれます。
チベット好きには納得の一冊だが、、、
★★★☆☆
もっとも好きなをひとり挙げなさい、と言われたら
自分は答えるであろう篠田節子。
ファンタジーなのに人間の本質的なところをうまく書くのがうまい作家だと思う。
しかも今回の題材はチベット。
自分の長い旅行暦のなかでも特に思い入れが強い国だったので、
かなり期待していた。
結果的には期待をし過ぎたからか、
思ったほどは世界に入り込めなかった。
題材となっているパンチェンラマの問題はチベットに行ったことのある人なら
必ず考えさせられる問題だし、ダライラマのインドの亡命政府にも
行ったこともあるので、非常に親近感?の沸く内容ではあった。
それでも篠田節子が得意としているファンタジーを織り込みながらも、
現実感との組み合わせ方がイマイチのような気がして、
話の持って行きかたもちょっと???ということが多かった。
とはいえここまで触りにくいチベット問題について取り上げて
小説を書いたことはさすがだと思うし、まったく興味のない人でも
読みやすくは出来るていると感じた。
痛快
★★★★★
中国工作員により捕らえられ、獄死してミイラにされたパンチョンラマ十世が復活するところから、物語は始まる。
信じ難い事だが、チベットと周辺の宗教的背景を想像すると、あながち非現実的ではないという気すらする。
この、復活したラマは、高僧とは思えないくらい、振る舞いが俗っぽい。
物語の舞台はチベットだが、ラマが中国共産党の近年の歴史に、実名を使って深く言及する下りが、いくつかある。
ここで語られるラマの言葉は、いちいちなるほどと思う。
そして、いったんはインド亡命を目指したラマは、チベットを駆けめぐる。
駆けめぐるのは、ラマの平和への祈りだけではない。
煩悩までもが駆けめぐるのだ。
ラマをマスコミが追い、政治が動く。
物語は、この地域が抱える諸問題に、大きな疑問を投げかける。
何より、復活ラマの行動が痛快だ。
痛快
★★★★★
中国工作員により捕らえられ、獄死してミイラにされたパンチョンラマ十世が復活するところから、物語は始まる。
信じ難い事だが、チベットと周辺の宗教的背景を想像すると、あながち非現実的ではないという気すらする。
この、復活したラマは、高僧とは思えないくらい、振る舞いが随分俗っぽい。
物語の舞台はチベットだが、ラマが中国共産党の近年の歴史に、実名を使って深く言及する下りが、いくつかある。
ここで語られるラマの言葉は、いちいちなるほどと思う。
そして、いったんはインド亡命を目指したラマは、チベットを駆けめぐる。
駆けめぐるのは、ラマの平和への祈りだけではない。
煩悩までもが駆けめぐるのだ。
ラマをマスコミが追い、政治が動く。
物語は、この地域が抱える諸問題に、大きな疑問を投げかける。
何より、復活ラマの行動が痛快だ。
大変面白く、かつ、色々な事を考えさせられた。