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聖域 (集英社文庫)

価格: ¥720
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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東北だからこそ生きる物語 ★★★★★
篠田節子の「聖域」です。東北地方を舞台にしているからこそ、物語の奥行きが広がります。舞台が東北だからこそ、現実感がでるのだと思います。人の死を通して感じること、そしてその死が現実と繋がったときの人間の感情を描いている作品です。その舞台は東北でなければいけません。東北の風土でなければいけません。そして東北の風土の中で登場人物たちはもがき続けるのです。悩み続けるのです。
受け取り方は様々でしょうが、一気に読ませる物語です。
恐るべき作品 ★★★★★
 ミステリーとして十分な面白さを持ちながら、同時に人生とか死についての深い洞察を含んだ作品である。単なる謎解きとして読んでも優れた作品であるが、著者の一番の持ち味は、この世とあの世のグレーな境界を描く筆力である。この世の中には、このグレーな領域に入って初めて描くことができるものがあるようだ。しかしこの境界は微妙なもので、あの世に近づき過ぎると現実感はなくなってしまう。この作品はそのバランスをうまくとった名作だと思う。
 私自身は宗教に関心を持ち、禅寺で教えを受けたり、行のように山の中を走ったりし、読書ではドストエフスキー、S.ヴェイユ、ヴィトゲンシュタイン、V.フランクル、西田幾多郎などを読んできた。しかしながら、篠田節子の描く世界はそれらの大家の世界と比較し得るようなものである。著者の作品は殆ど読んでいるが、極めて稀な宗教的な感性を持っているように見える。しかしエッセイなどを読むと、本人もそのことを自覚していないのではないかと思う。小説を書いているときに、著者自身が自覚しないままに、非常に深い宗教性を発揮するように思える。その意味で不思議な作家である。
 
 
常識人かも ★★★☆☆
篠田節子氏は、頭よさそうだし、鋭い社会認識をもっていそうだし、文章もしっかりしているし、申し分ない書き手なのに、私には何故かつまらない。
もしかして著者は、どんなテーマを扱っても、常にものすごい常識人なのかも。
聖域を読んでも、やはり認識は変わりませんでした。
至高の一冊、骨太の名作。 ★★★★★
女たちのジハードで語られたような、シンプルで無駄のない地の文体に、文中小説(とはいっても引用と概要ではあるが)が挟まる、最初の展開。


その文中小説が秀逸。
文章も練られていて、それだけで十分に読みごたえを感じるような素晴らしいプロット。もったいない!
このままできればきちんと読みたい、そう思わされるほどの出来栄え。


しかし作者の展開するストーリーの肝は、そこにはない。
その作者の数奇な運命?才能?能力を軸に、担当者、同じ賞をとった老作家、そして主人公と3人の人生が絡まりあいほつれていく。
最後の結末は・・・


人は失われたものを求めずにはいられない。


なくしたものの輝きを美化し、そこに逃げ込み、
自分が欲しかった答えをひたすらカクニンしようとする男たちの姿は、
愕然とするほどに脆く、そうして胸に痛い。


失われたから、そこにないから輝いている。
それに目を奪われるのあまりにすぐ手の届く手垢のついた現実を、貶めた瞬間にそこは、闇。
サスペンスのようで実は別物 ★★★★★
この作品は何年も前に一度読んだのだけれど
その時はサスペンス調の展開の面白さにとらわれて
おそらく表面的にしか読んでいなかったのだと思います。

時を経てふたたびこの作品を読んだのですが
篠田節子さんの世界観に感銘を受けました。
これは枠組みはともかく、どちらかというと哲学的な内容なので
そう思って読むと楽しめるかと思います。

身も蓋もないように見える現実を受け止めて
そこから考えを進めていくことが大切だと思っているので
篠田節子さんの小説はどれもとても好きです。