ところが、読み進めていってもなかなか”ヒーロー”は出てこない。役場の職員や看護士など、どちらかというと”脇役”っぽい人たちがまとめて主役になっている。社会全体から見たら小さな存在かもしれない人たちが、この事件の中ではそれぞれがとても大きい存在感を示し出す。そう、社会って~~いうのは、誰か一人のヒーローではなく、こういった名もない一人一人が作り出しているものなんだ、と思わせてくれる。
ラストは想像していたものとは違ったけれど、一種の爽快感さえ感じるほど気持ちのいいものだった。~