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ゴサインタン―神の座 (文春文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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究極の求愛? ★★★★★
豪農の跡取り息子、さえない40代の男が、ネパール人の嫁を迎え入れたところから
物語は始まる。
要領のよい長男は、古くさい家も、農業も全て彼に押しつけて渡米。
彼だけが、生きた屍のような日常を送っていた。

初恋の人の名前をつけて、彼女を呼ぶ身勝手な男。しかし、彼女の不思議な力に
より、全ての財産を失うはめに。
宗教の扱いに多少異論はあるが、俗物を失うことで得る物もある。
全てを剥ぎ取られた男は、神通力の失せた女を捜して、彼女の故郷に追いかけていく。

ただただ女の面影を追ってきた男は、日本での記憶をまるで封印した彼女に
たどりつくが、自分を覚えていなくても、一緒にいたいと切に願うのだ。
ソレも、究極の求愛だと言える。純粋に相手を恋い慕う気持ちは尊い。

昨今の自分の売値も知らず、条件からはいる婚活がいかに愚かしいか、
圧倒的スケールで、考えさせられる作品。
世相なんか無視しろ! ★★★★☆
こんだけの筆力持った作家なんだから、その時々の世相に合わせてテーマ選ぶなんて小賢しいことするなって。そんなの無視して、デンと構えて、自分の書きたいことだけトコトン書けば「大作家」になれるかも!惜しい・・・ナンチャッテ!
何で賞をとるか…… ★★★★★
直木賞の受賞作が「女たちのジハード」……そういうジャンルの小説(作家)には、いまいち食指が動かないなあと、食わず嫌いしてました。
でも、ある作家(たしか女流SF作家だったような気がするけど)が、すごく面白いとどこかで書いていて、それならと手にとりました。
そういうわけで、最初は及び腰。でもたちまち物語のおもしろさに引き込まれ、一気に読んでしまいました。
「私はこれを書きたいのです!」という作家の熱が伝わってきて、心を揺さぶられます。
おーい、直木賞ならこっちだろーっと叫びたくなりました。
超重量級で、ズシンと来ます。 ★★★★★
この文庫版で648ページ(!)を読み終えたとき、軽く腑に落ちたという「ストン」じゃなくて、「ズシン」という読後感に襲われました。確かな筆力だけがもたらす圧倒的な超重量感のある長篇です。

東京郊外、神奈川県との県境に近い村に代々土地持ちの名家として栄えてきた「結木家」。跡取り息子の輝和は、40歳になって、まだ独身でした。40回以上見合いをしたが、どうしても結婚できません。病身の父、既に高齢の母のため、何より「家」の存続のために、380万円も支払って、ネパールから嫁カルバナを迎えます。その嫁が、実は「生き神」だったというストーリーです。

読みどころは、ダメ男の輝和の人生が地に堕ちていくプロセスです。輝和の視点に近い三人称で書かれていますが、作者の筆は容赦ありません。父、母が相次いで死にますが、カルバナは「すべてを捨てろ」と輝和に迫ります。古くから受け継いだ家宝はもちろん、不動産は村の人々に寄付させられ、貯金は信者にばらまかれ、とうとう家まで差し押さえの末、放棄させられます。文字通り無一文になって、二人は手洗いさえない山小屋に暮らしはじめます……

篠田ファンタジーの特徴でもありますが、ディテイルの事実の積み重ねが怒涛の如くすばらしく、浮わついた感じはまったくしません。人生の豊かさとは何なのか、宗教の根源とは何なのか、大切なものに気づかせてくれる一冊です。
「愛」によりて ★★★★★
淑子ことカルパナの思いやりと優しさが、乾ききった心にしみこんでくるようです。一緒に逃げて、山中で暮らしたくなります。
どんな環境でどんな目にあわされても、人間らしさを忘れずに、自分らしく生きていく姿、本当に強く、美しいです。

この作家はありそうでないことを書くのでなく、いずれ必ずおきそうなこと、もしかするともう既に実際の事件として発生しそうなことを常に先取りしていますよね。そして少しの不自然さも違和感もなく、作中人物が本当にやむにやまれずに、自分の心の声に従って行動する姿を描写してくれます。

作者の心の熱さ、他者とコミットメントしていこうとするまっすぐな思いがストレートに伝わってきます。

ファイト! と応援したくなります。
素晴らしい作品、今日本語で読むことのできる最上級の名作です。