インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

いじめ問題とどう向き合うか (岩波ブックレット)

価格: ¥588
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
あまりにも恣意的で、一つ一つの理論の掘り下げも不十分 ★☆☆☆☆
 はっきり言って、読む価値は全く無い。まず、本の構成として、いじめにはピーク期があり、現在が第三のピーク期である、ということをグラフを基に述べていて、「今、過去と比べてもピークと言えるほどにいじめが増えている。ではどうしたらいいか」という流れになっているのだが、このグラフがお粗末なものである。文科省からデータをそのまま引っ張ってきているのだが、引っ張ってきたデータ自体が無価値なもので、2005年に、それまで学校側が教育委員会や文科省にまるっきり虚偽のデータを報告していたことが明らかになったことで問題となり、しかも過去何度も、データの調査対象や、いじめの定義づけが大幅に変更されているのである。そのようなグラフとしては全く無価値なデータに、筆者が謎の独自の理論に基づいて推測したデータとも呼べないようなシロモノを2006年以降の部分に貼り付け、それによってそれまでグラフが描いていた曲線を大きく逸脱するような、いびつな第三のピークとやらをでっち上げてしまった。
 何かの方針が間違っていると批判するとき、批判者は正確にその実体を把握している必要がある。増えているのかいないのかはっきりしないのに、増えていることを前提に新たな教育政策を打ち出すのは大変危険であることは言うまでもない。いじめ問題に向き合うときに、この方向性の不明瞭さは致命的である。
 突っ込み所を取り出せばきりがないが、他にも例えば後半の、いじめが起きるクラスと、起きないクラスの相違点の表も、いじめが起きるクラスは悪循環で雰囲気が悪くなっているのか、また、いじめが起きないクラスは起きていないことによる好循環でクラスの雰囲気がよくなっているのか、というような、原因と結果の因果関係などが全く考慮されておらず、本当に浅はかな理論であると云わざるを得ない。

 筆者がメディアにもよく露出する有名人ということもあり、このような社会学的にも、統計学的にも、教育学的にも駄作としか言いようのない本を読んで、惑わされる人がいないことを祈るばかりである。
 本を批判的に読む練習をしたい学生などにはいいかもしれない。