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東大講義録 ―文明を解く―

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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「知価社会」の担い手たるか ★★★★★
 著者は二〇〇二年四月に東大先端科学技術研究センター・技術移転法・技術移転政策分野の客員教授に一年任期で採用され、同年夏学期(四月から七月まで)教養学部前期課程の全学自由ゼミナール講義「知価社会論」を展開。本書はその講義録です。「知価」とは知恵を価値とするという意味で、堺屋氏は「知価社会」すなわち「多様な知恵の値打ちが、経済の成長と企業の利益、つまり資本蓄積の主要な源泉になる社会」が近代工業化社会に代替、米・英を先駆けとして一九八〇年代から始まっているとします。氏は東大卒業後、当時の通商産業省に勤務。「日本万国博覧会」(一九七〇年)のプロデュース、世界に先駆けた「水平分業論」主唱等の実績を遺しました。同省を退職したのが十八年勤務した後の一九七八年十月で、それは官僚主導が「規格大量生産」に功を奏した時代の終わりを察知した時。しかして来るべく「知価社会」を論ずる氏は官僚否定の論調を貫きます。実際東大が官僚養成・輩出の性格を帯びてきた意味で、氏の同大での講義は挑戦的。このことは、戦前戦後に東大生に読み込まれたマルクス主義が官僚主導体制支持の思想だ、と断ずるときにその性質を増します。授業では、人間精神には社会条件の変化に対応した美意識と倫理観があり、これらが文明を構成する人口、資源環境、技術に作用−こうした「原理」(探求中の模様)に基づき、今日1)資源と環境の不均衡、2)物への関心の相対的希薄化、3)PC制御技術による多様化に対するコストダウン、4)消費者の主観的満足欲求志向、5)経済と文化のグローバル化、として知価社会の原因を構成すると説きました。東大での「知価社会論」は、この新しく大きな経済的価値観のうねりについて、最高知性人とその卵たちに意義深いテーマを与える機会となり、これを踏まえた同大からの次代の人材輩出への期待とともに展開したのです。
未来を読むために、文明の変遷を振り返る ★★★★★
これから先の未来について考える時に、過去を改めて振り返ることは一つの大きなヒントとなると思う。

この本では、まず第1部で、文明の原因「人口」・「技術」・「資源」という観点から、人類がどのような歴史文化をたどってきたのかをわかりやすく語っている。

その後に、第二部では、知価社会をキーワードにこれから先に発展する産業、共同体等について、提言している。
〜第二部より〜
貢献面から考えると産業は、次の四つに分類できるという。
消費財のように物財を生産加工する「物財産業」、財の場所、時間を変える「位置産業」、個人的社会的に時間を楽しくする「時間産業」、個人社会的に知識、技能、情報を広める「知識産業」。
これからは時間産業、知識産業が発展するとのこと。

また共同体について、農業革命、産業革命などのターニングポイントでそれぞれ変化し、次のような変遷をたどっているとのこと。
「血縁社会」→「地縁社会」→「職縁社会」
そして、これからは、好みでつながった人のコミュニティである「好縁社会」ができるのではと。

歴史の因果関係の解釈について、必ずしも正しいとは言い切れないが、しっかり論理が取っており、納得できる。
ここで紹介したもの以外にも、おもしろい考察が多々あり、一読の価値ありである。
高度な内容をわかりやすく ★★★★☆
大変ラクに読める文章だが、歴史の流れの原動力が見えてくる。
著者独自の歴史解釈は評価が分かれるだろうが、このくらい冒険をしなければわざわざ本を書く価値はない。
織田信長のパパが治水技術の革新によって富を蓄えたとか通り一遍の歴史書ではわからない話がいくつも出てきて面白い。
ただ、『私は世界で最初に×××をしました…』といった文章がいくつも出てきて鼻につく。
未来を読むものは歴史を読む ★★★★★
先行きの不透明な時代にあって、だれもが未来を読みたいと願っている。しかし断絶の時代に生きる私たちであっても、未来を読むことは歴史を学ぶことに他ならない。それは井の頭公園でボートをこくのに似ている。正しくまっすぐ進もうと思えば、背中に目がない私たちは、進行方向の後ろに見える風景のある一点を基準にして進んでいくものだ。この本は歴史に対する深く広い理解に裏打ちされた文明論で、これまで断片的に教えてこられた出来事の意味が、ひとつひとつ繋がっていく脳の快感がある。分かりやすく話すことにもかなりの力量が感じられる。逆に読むものの力量はあまり問われないので、多くの人に愛される本になると思う。東大の学生だけでは本当にもったいない。
近代の後にくる「知価社会」 ★★★★★
今、堺屋さんが最も力をいれている「次の時代」についての東大講義録です。
第1部は文明がどのように移り変わっていったのかを、始代・古代・中世・近世・近代に分けて解説しています。ここでは文明の原因「人口」・「技術」・「資源」が、その時代の人々の主観(倫理観)をどのように変遷させ、それが文明にどのように影響したかを中心に解説していきます。
第2部は第1部を踏まえて、しからば今後の人々の主観(倫理観)はどのように変化し、その結果どのような文明が誕生するかを予測しています。

この本は第1部の「文明の移り変わり解説」だけでも充分読む価値があり、これを知ると現代の文明の見方が変わってきます。それに加えて第2部では、今後のどのように生きていくかの指針になるだけではなく、主観(倫理観)を見据えて書かれている為、「なにかこの社会はおかしい、しっくりこない」と思っている方への解答にもなります。

またこの論理を脚色する為に様々なエピソードが紹介されていますが、それもまた非常におもしろく、「銀行の三角マッチ」・「日本の警備はお金がかかる」などは一読の価値があります。

文句無しの星5つです。