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舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

価格: ¥578
カテゴリ: 文庫
ブランド: アスキーメディアワークス
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ラノベキャラという“お面”でミスディレクション ★★★☆☆

ある年の暮れ、工学部の大学院生・舞面真面は叔父から呼び出され、真面の
曽祖父で、財閥の長だった舞面被面が遺した“心の箱”と不可解な遺言(箱を
解き 石を解き 面を解け ――よきものが待っている)の調査を依頼される。

民俗学を専攻する大学生の従姉妹・水面や、興信所の調査員・三隅らとともに、
調査を始めた真面だったが、そんな彼の前に、不思議な面をつけた少女が現れ……。



遺言の暗号解読を軸に物語が展開されていきますが、暗号そのものは至ってシンプル
な代物です(森博嗣を彷彿とさせる、理系的アプローチによる解析は印象的でしたが)。

最後に用意されたどんでん返しは××パターンで、「驚愕!」というより
は「納得」、もしくは「そうきたか」という、ある意味、無難で手堅い印象。

ただ、その趣向自体にはさほど意外性はないのですが、それを成立させるために、ライトノベル
と一般文芸との境界にあるという本レーベルの特性が巧みに利用されているように感じました。


いかにもラノベっぽい、エキセントリックで浮世離れした“お面の女”のキャラ造形が、
読者に対し、巧妙なミスディレクションとして機能しているのではないかと思います
(とくに、『アネキャン』や『っポイ!』のくだりなんか、絶妙ですねw)。




物足りなさは残るが読みやすくて先が楽しみ ★★★☆☆
メディアワークス文庫賞受賞作に次いでの2作目.またデビュー2作目でもあります.

言葉の運び方やユーモア,あとがきに至るまで西尾維新さんに近い印象を受けました.
ただ,謎解きは思っていたほど広がらず,読み手はどちらかと言えば傍観者の立ち位置.
その『答え』も現実離れしており,そちらへの期待が大きいと物足らないかもしれません.
真相や後日談にしても,好き嫌い云々の前に唐突な感があり今ひとつスッキリといきません.

キーワードである『面』になぞらえた主人公の葛藤も共感できる部分はあったのですが,
大仰だった割には物語との結びつきが弱く,こちらもちょっと消化不良に感じられました.

とはいえ,やや型どおりではあるもののラブコメや掛け合いなど軽めのノリはおかしく,
2作目とは思えないこなれた文章は,シリーズ化も含めて先が少し楽しみな作家さんです.
謎解きもの ★★★★★
かなりポップなミステリーものです。設定が練りこまれており、その謎に向かっていく過程で好奇心がそがれる事は無く、最後まで楽しく読めました。

話の大筋としては、曾孫が財産を巡って謎解きをしていくというもの。
個性的な登場人物やお茶目な言動が作品全体にユニークさを出していて、楽しめると思います。
謎解きに関するキーワードに関しても、解説が丁寧であるので、全く理解できない、という事はまずないかと思います。
落ちも、ここまで来てこうするか!と思うものでした。
笑いもあり、シリアスもあり、文体も全体的に気持ちのいい読み味だったのが好印象です。

まさにメディアワークス文庫が目指す所の内容・志向性だと思います。
書店で見かけたら、是非最初の数ページをめくって頂けたらと思います。

カバーイラストが大変強烈ですが、読み進めていくとなぜか愛着が生まれてくるから不思議ですね。
作品の世界観をよく表しているなぁと、とても気に入っています。

主人公は大学院生ですので、やはり同世代にお勧めしたい一冊です。