「政策入札」を提唱
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談合はいつまでたってもなくならない。
警察につかまっても、同じ業界がまた繰り返すことも珍しくない。
著者は、すでに導入されているがあまり普及していない「総合評価型入札」の推進、そしてそれをさらに進めた「政策入札」を提唱している。
現在でも、価格だけを唯一の落札基準にしていることがほとんどのため、談合を生み出し続ける誘因ともなっている。
価格だけではなく、社会的価値を入札に盛り込むことにより、談合の可能性を格段に少なくすることができる。複数の基準を持ち込むことにより、「示し合わせ」は困難になる。
さらに、自治体の固有性をも示すことのできる、「政策」判断により、望ましい社会的価値を推進することができれば、一挙両得である。
たとえば、企業が、どれだけ環境に配慮しているか、どれだけ障がい者雇用をしているか、男女共同参画を進めているか、公正労働として従業員への充分な給料の支払いや福利厚生の実施などをしているか、などを入札基準に加えるということである。
これらの基準を価格と同様に設定する。それぞれの項目は、政策判断により、重み付けの割合を決めていくことになる。
談合社会を変える、社会的価値を増大させる、自治体の分権を進める、いくつものプラス面がある「政策入札」はぜひとも、現実に実現したいものである。
わかりやすい入札の説明書
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この本は、わかりやすく入札制度の事が説明されています。制度の歴史と法改正の内容などは、知っておきたいもの。これだけならば、知ることは容易ですが、制度の問題点や課題なども、知っておいた方がいいですね。とりわけ、価格制度から政策入札への展望などは、総合評価方式を可能とする施行令の改正から出てきたもの・・。
最近も法改正がされていますが、それらの動向を予見したような内容です。入札制度に興味がある方は、一読されていたほうがいいかもしれません。
どこかの地方行政でこの方式を一度ためして欲しい
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著者の主張する「政索入札」の考え方は、行政において過去から一向になくならない談合体質を断ち切る意味で大変意義のある提言であると考える。価格以外のファクター、環境への取り組み、労働環境(差別、安全衛生)、社会責任体制などを入れるしくみをつくるためには、まだ各企業が成熟していないなどなど恐らく現状の維持を図る抵抗勢力のうごきは相当出てくると思われる。しかし、いままで散々批判されて改善していないのだから、行政の長の強力なリーダーシップで一部でも取り入れてやってみたらと思う。
価格一本の入札を夏の甲子園予選型とすれば、政索入札は春の選抜方式型であろう。勝ち負けがすべてのスポーツでも複数の選別ファクターを入れている例があるのだから、行政で実行する価値は非常にある。
財政再建のためにも
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類書がないだけに非常に貴重な文献。公共部門の支出財源は,国民の税金によるものなのに,肝心の予算執行の具体的な方法については,官僚制の厚いベールに阻まれていた。予算の効率的執行を阻害する要因は何か,わかりやすく説明してある。官公庁の会計担当者のみならず,ひろく一般の人にも読んでもらいたい。