ギタリスト、デュアンが亡くなってからはじめての完璧なスタジオ録音のアルバム。1973年に発表された『ブラザーズ・アンド・シスターズ』は以前と趣が全く違う。しかし、もし他のバンドが発表していたら、このアルバムは不朽の名盤になっていただろう。オールマン・ブラザーズは泥臭いブルース・ロックから、もっとグルーヴィなサザン・ロックに傾倒し、ディッキー・ベッツや新しいピアニスト、チャック・リーウ゛ェルの影響を強く受けていることが、はっきり見て取れる。ベッツは「ランブリン・マン」、「サウスバウンド」、そしてクラシックな器楽曲、「ジェシカ」、フィナーレを飾るアコースティックで、ドブロでの彼の活動を発表したような「ポニーボーイ」のように、古めかしい音作りに貢献した。グレッグの影響力は、かつてほどではなく、わずかに「カム・アンド・ゴー・ブルース」や「ジェリー・ジェリー」に見られるだけだ。オリジナル.メンバーのベーシスト、ベリー・オークリーはこれらのセッションの間に他界したので彼の演奏は、収録曲の中でわずか2曲だけである(マーク・グレイルセイマー, Amazon.com)
素晴らしい作品ではあるが、決して最高傑作ではない。
★★★★☆
「Brothers&Sisters」が1973年に発売されたときは、当然、LPレコードで購入した。当時もこの作品に対する評価は非常に高く、あまり馴染みはなかったが、初めてオールマン・ブラザース・バンドを聴いてみようと思うキッカケとなった。なかでも「Jessica」は好きな曲ではあったが、ディキー・ベイツが作品全体に影響を与えているカントリー調なアレンジは、世間での評判程ではないのではと感じていた。ただこの作品がなかったら、オールマン・ブラザース・バンドとの出会いもなかったことを考えると思い出の一枚と言える。CDで買い直し、改めた聴くと以前とそれ程印象は変わらないが、ベイツのギターが昔ほど耳障りではなくなっているのは、加齢によるものかなどと納得してしまった。いつの時代でもオールマンは素晴らしい。
American Music
★★★★☆
このアルバムはデュアンの生前のものと比較して評価されることが多いけど、それは正当な評価とならないような気がする。他のバンドにもメンバーを失うという、同じケースがあるが特にこのアルバムについては…。#2、#6は人気も評価も高いけど#7を聴くと古い土着のアメリカンミュージックを感じる(ディッキーの鼻にかかったボーカルはSP盤のカントリー歌手のよう)。この時代的な感覚はデュアンとは異なる音楽性であり優劣がつけられるものではない。象徴的な例えになったけれど、言いたいのは絶対的な評価をすればBrothers and Sistersは名盤であるということ。私的にはこのアルバムに、よりアメリカ臭さを感じる。
棺桶に入れてほしい2枚のうちの1枚
★★★★★
もう1枚は "Fillmore East" 。
この2枚がバンドの代表作でしょうが、それがこのバンドの複雑な歴史を物語ってますね。
Duane が死んだ後は別のバンドとして好きです。
もっともこれより後の何枚かはかなりグダグダですが。
ブルースロックもカントリーロックも好きな自分にとってはまさに最高のアルバム。
カラオケで "Ramblin' Man" が歌えるなんて、日本はすばらしい国だと思います。
Dickie をクビにしてまでこのバンドを続けることにどういう意味があるのかわかりません。
悲劇の後の頂上
★★★★★
デュエイン・オールマンに続いて、ベリー・オークリーをこのアルバム録音中に失うという悲劇を乗り越え、バンドとしてのキャリアの頂点を極めたアルバム。前作「EAT A PEACH」に片鱗の見えたディッキー・ベッツのカントリー色が表面に出て、ヒットナンバーの「RAMBLIN' MAN」を産み出す。
一方グレッグ・オールマンは「COME AND GO BLUES」でレイドバックしたヴォーカルを聞かせる。
アルバムのハイライトはインストの「JESSICA」だ。メロディアスでアーシーで全員が一体になった演奏が素晴らしい。飽きない7分30秒だ。
このアルバムから加入したチャック・リーヴェルのピアノが全編にわたって効いている。デュエインを上回るギタリストがいるわけはなく、ギタリストでなくピアノを入れたのは正解であった。デュエインのいたオールマンズの音は再現され得ないが、「レイドバック」したご機嫌な「サザンロック」の形を提示したアルバムとなった。
その他各楽曲ともレベルの高い演奏だが、グレッグとディッキーの嗜好の違いがはっきりと表れ、このあとの2人のソロ活動へと展開していく。
オールマンズ流のカントリー・ロック
★★★★★
73年発表、オールマンズのスタジオ3作目『ブラザーズ・アンド・シスターズ』。
デュアンに続き、ベーシストのベリー・オークリーがバイク事故で亡くなるという悲劇を乗り越え、
それまではセカンド・ギタリストに徹してきたディッキー・ベッツが中心となって作り上げた本作。
これまでのブルースを基調とした豪快で泥臭いロックから一変し、
アコースティック・ギターのカラッと乾いた音が耳当たり良い
全体的にカントリー色の強いサウンドに仕上がっています。
これまでデュアンと共にオールマンズのブルース面の中核を担ってきた
渋くブルージーな歌声を持つグレッグ・オールマンがボーカルを務める
「Wasted Words」や「Come And Go Blues」等にも
同様にカントリー的な味付けが加えられているのが印象的です。
そして、本作のハイライトとなるのが
ディッキー・ベッツ作の「Ramblin' Man」と「Jessica」の2曲。
「Ramblin' Man」ではディッキー自身がリード・ボーカルを取り、
その優しく温かみを感じる歌声を披露しています。
ダブル・ドラムの小気味良いリズムとポップなピアノが楽しく、
ついつい踊りだしたくなるような曲です。
「Jessica」はドゥービー・ブラザーズを想わせる
アコースティック・ギターのイントロから始まるインストゥルメンタル曲です。
本作中最も長い7分半に及ぶ曲ですが、全く中だるみせず、
気付いたら聴き終わってしまっているような、
聴く者を惹きつける魅力を持つ名曲です。
他にも、スイングするリズムとボトルネックの響きが気持ちいい「Pony Boy」や、
駆け上がるギター・リフと畳み掛けるようなソロが素晴らしい「Southbound」など、
ドライブにぴったりの疾走感溢れる名曲が並びます。
本作以前の作品を聴いたデュアン・ファンの方も一度聴いてみて損は無い作品だと思います。
また、本作はカントリー・ロック的な色の濃い作品なので、イーグルスやドゥービー、
初期のスティーリー・ダンなど、ウエストコースト・ロック好きの方にもおすすめです。