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イエス・キリストの言葉―福音書のメッセージを読み解く (岩波現代文庫)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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各福音書の編集レベルに対応した「読み」 ★★★☆☆
新約聖書の共観福音書(マルコ・マタイ・ルカ)を、それぞれの編集者の意図、対象とした読者の相違(たとえば、「マタイの福音書」の読者は、ユダヤ人キリスト者で、かつ比較的富裕層で知識人であった)に留意しつつ分析し、イエスのメッセージを探ります。そして、著者の荒井さんはそのメッセージを現代の諸問題、あるいは自分史と関わらせて語っています。

新約聖書学の方法論の一端に触れ、福音書を学べる入門書としてお勧めできます。

ちなみに、聖書学者田川建三さんの著書をひもとくと、荒井さんに対する批判が満載されていますが、荒井さんのこの本では、田川さんの見解が援用されています(262頁)。また、「この16講には…私の妻・英子の意見を大幅に採用したことを付記させていただく」といった注記、あるいは、いわゆる「神殿粛正」におけるイエスの暴力的実力行使に関しては、「このような過激な行動は…「愛敵」の教えに矛盾するのではないか、といわれるかもしれない。確かに、論理的には矛盾するであろう。この行動は「敵」に対する「愛」の「鞭」としかいいようがない」とすなおにイエスの言行の矛盾を認める点に、荒井さんの誠実な人柄を感じました。

ただし、荒井さんもキリスト教信者としてはやはり頭の固い反靖国派であるらしく、その種の見解が表明されています(302頁)。

それから、「悪人に手向かってはならない」という語句の説明に、「たとえば、戦中・戦前に朝鮮半島において日本人が行ったといわれる、強制連行を考えてみるがよい。―畑で働いているとき、いきなり徴用され、この武器あるいは荷物を担いでついて来い、と命令されたら…」(80頁)とありますが、この書き方はまずいでしょう。いわゆる「強制連行」は「徴用令」という法令に基づいていた、合法的な行政行為です。この書き方ではまるで拉致のようなことになってしまいます。