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アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: かもがわ出版
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奇抜なタイトルに隠された大胆な提案 ★★★★☆
思わず「そんなことができるの」と突っ込みたくなるタイトルだが、一読して説得力の強さに感心させられた。米軍の増派につぐ増派にもかかわらず、一向に出口の見えてこないアフガン戦争を終結させるために、著者は「戦争をしない国」である日本が「武器をもたない自衛隊」をアフガンに送り込むことこそがもっとも有効な手段であると説く。その強い信念は、2002年からアフガニスタンにおいて「丸腰」で「軍閥」の武装解除を指揮した経験に裏打ちされている。
「護憲」か「改憲」か、自分の視点をもつことが未だに迷っている人にも必読の一冊である。
憲法9条と自衛隊に関してがメインではないが、アフガン危機について無視できない。 ★★★★☆
 著者の講演を聴いた後に読んだので、地理的条件を理解できたが、本書では地図無しなのが残念。
 
 アフガンとパキスタン国境周辺で、アフガン人口の約半分・パキスタン人口の約1/6を占めるパシュトゥーン人が実効支配する、部族支配地域トライバルゾーン や、世界のケシ栽培の9割を占めるケシ王国の中でも、栽培が最も盛んなヘルマンド州等、住民が連合軍・国軍・様々な反政府勢力との戦闘によって最も大きな被害を受け、最も援助が必要ながらその危険さに伴っていない南部地域の説明を、地図で詳細な地域状況も説明出来たと思われる。
  

 武装解除でタリバンを制圧した北部同盟を解散させたにもかかわらず、そこに国軍でなく再びタリバンが舞い戻り、パキスタンとタリバンの協力や核問題もあって、米・NATO共に引くに引けないが、その原因を作った米が期限付きで「一抜けた」を宣言する今日迄の動き、アフガンによる自治と戦争終結へのロードマップである円卓会議について書かれている。

 ミッションは動き出したばかりで、カルザイ大統領がタリバンなど敵対組織との対話を活発化させている。
 だが、後ろ盾の米国が武装勢力との交渉に懐疑的な上、アフガンでの影響力拡大を狙うパキスタンの協力も得難く、タリバンも、2月に最高幹部の一人が拘束されて以降、指導体制に変化が生じており前途多難だ。

 「美しき誤解」に基づき非武装自衛隊による、国境をまたいだ地域に設けるという「支え合う安全保障(SS)ゾーン」との抗争停止地域での軍事監視任務も、著者の思惑通りに行くだろうかと懐疑の念が湧く箇所もある。

 ただ、著者は一介の大学教授であり、外務省が手をこまねいているからこそ行動しているわけで、それは賞賛されねばならない。

 いずれにしても第3次大戦がこの地域から起こりうる危険性を、世界が協力して沈静化せねばならず、それを外務省と米英が邪魔しない事を祈るばかりだ。
現実的かつ具体的な提案 ★★★★★
アフガンで武装解除に携わった、当事者による次の一手の提案。一見、夢想のようなタイトルだが、内容はまったく現実的かつ具体的。

著者は「紛争屋」として世界各国で調停や武装解除の経験をもつベテラン。その著者がアフガンでの経験を踏まえて提案するのが、憲法9条と非武装自衛隊による問題解決。

本書によれば、2009年に東京で行われた11.23国際会議では以下が議論されたという。

・地元コミュニティの強化が先決。(アフガンの優良な警察力との信頼醸成が必要。)
・治安の権限をNATO・アメリカから優良なアフガン国軍・警察へ移す。
・国連主導の非武装軍事監視団を創設
・治安維持下で経済特区的な国際経済支援を実施。

こうしたことがこれからどのように実現していくのか?著者のこれからの活躍に期待したい。