歴史的傑作となった前作"Operation Mindcrime"の次にどんなアルバムが出るのか。うって変わってシンプルなアートワークを前に、期待と不安に張り裂けそうになりながら最初の音を耳にしたとき、・・・全ては杞憂に過ぎなかったことを知る。1.Best I Can を聴いた瞬間にガッツポーズをしてしまったのは私だけではないはず。そして次から次と畳み掛けるQUEENSRYCHEの底なしの音世界。彼らが本当に只者ではないことを思い知ったのは、実はこのアルバムだ。

"Mindcrime"のように物語的統一性があるわけではないが、彼らならではの世界観によって統一されたコンセプトが背後に横たわっている。曲調は全体的にキャッチーですらあるが、音像は深遠で果てがない。この方向性がさらに次作へとつながっていくのだが、バランス的には本作こそが彼らの完成されたスタイルを現していると言えよう。

前作と違ってツマミ食いできるのもいい。対決するような集中力を要求してもいない（が、その気になればどこまでも思索を受け入れる）。本作で彼らは「ロック」の形式を完全に乗り越えて、その純粋な本質へと昇華してしまった。その意味では、前作が最高傑作との評価に異を唱えるものではないが、実は本作が最も「凄い」。バンドとしての充実度も最高で、楽曲も、ジェフ・テイトの歌唱も、メンバーのプレイも、アートワークも、何もかにもが最高水準。

Empireの出来が一番だと思っています。ハイトーンだけでなく、腹の底に響く低音もあり、バンドとしての一体感、すべてにおいて完璧です。私の人生のTOP10以内のアルバムです。