カリスマの素顔
★★★★★
池田大作さんがまだ参謀室長を務めていた頃からの会員で、後に創価学会の幹部になったものの、世界の著名人たちとの対談の根回しに使うために、金集めばかりさせられる仕事に嫌気がさして退会したという人から、池田大作さんという人は、大変なカリスマだと聞いていました。池田さんの御書講義などを聴くと、心からほれぼれしたというのです。
最近、あらためて池田さんに関心が向いてきていた矢先、たまたま本書に目がとまって、読んでみました。その元幹部は、週刊誌に書かれているスキャンダル的な記事はすべて本当のことでまちがいないと言っていましたが、その一方で、池田さんのすごさは、はっきりと認めていました。本書も、それと同じ姿勢で、池田さんの情けない実像(たとえば、言論出版妨害事件で国会に証人として喚問されるのを恐れて、私邸や研修所の池田専用室でふとんにもぐりこみ、泣きごとを言っていたこと)や、平気で前言を翻したり、うそを平気でついたりすること、すべてを人のせいにしてすませようとすること、稀にみるほど執念深いこと、宗教家とは正反対の、絵に描いたような俗物であることなどを、豊富な実例をあげて明確に描き出しながら、その一方で、「私が生涯でただ一人、『この人はすごい』と心底感じたのは池田氏だけである」(本書、24ページ)と、はっきりと書いています。それとともに、池田さんの特異な目の力についても、その傑出性を明確に指摘してます。
本書を皮切りにして、藤原弘達さん、内藤国夫さん、溝口敦さんをはじめとするジャーナリストたちの書いた批判書はもとより、創価学会を除名されたり、自分から脱会した、かつての池田さんの側近たちの書いた本もたくさん読んでみました。蓮悟空(『変質した創価学会』六藝書房)、石田次男(『内外一致の妙法』緑友会)、福島源次郎(『蘇生への選択』私家版)、龍年光(『池田大作・創価学会の脱税を糾弾する』日新報道)、原島嵩(『誰も書かなかった池田大作・創価学会の真実』日新報道)、山崎正友(『闇の帝王、池田大作をあばく』三一書房、『法廷に立った池田大作』第三書館)、藤原行正(『池田大作の素顔』講談社)、矢野絢也(『黒い手帖』講談社)、福本潤一(『創価学会公明党「カネと品位」』講談社)、小多仁伯(『池田大作の品格』日新報道)などです。しかし、それらには、池田大作さんの「すごさ」についてはあまり書かれていませんでした。たしかに、池田さんに心酔しているうちは、池田さんを絶対視する(カリスマに服従する)姿勢を一様に示しているのですが、造反した後には、「それでも池田さんはすごい」という態度は、あまり取れなくなってしまうようなのです。
しかし、それでは、真の意味で池田さんの実像に迫ることはできません。だまされた責任は自分にあると反省するのはよいとしても、池田さんの実像を曇らせてしまうようでは、一方的に過ぎるというものです。当の池田さんですら、自分を痛烈に批判してきた内藤国夫さんのことを、「敵ながら天晴れ」(山崎『闇の帝王、池田大作をあばく』、214ページ)として(一時の言葉だけかもしれないにしても)率直に認めているのです。やはり、自他ともに客観視する必要があるのです。その点、本書は、カリスマとは何かを知るうえで非常に参考になる稀有の著書だと思います。
ヒトラーも、歴史上稀な大カリスマでしたが、ヒトラー晩年の秘書の日記(『私はヒトラーの秘書だった』草思社)によれば、個人的には、池田さんとは正反対に、菜食主義で、非常に質素な生活を好む人物だったようです。表面的な生活態度と、カリスマ性とは関係がないらしく、その点は非常に興味深いと思います。
つまらない
★☆☆☆☆
元学会員の矢野は、脱会してから池田氏の悪評ばかり言ってるだけ。しかも言ってることは全部でたらめ。こんな本読む価値なんてない。
創価学会との距離
★★★★☆
「私が愛した池田大作」という書名そのものの内容である。
自分が、如何に池田大作に可愛がってもらったかが、これでもか、と云うほどに書かれている。
本書に記されている通り、池田大作がやってきたことは無茶苦茶である。言論出版妨害事件、本尊模刻事件、地方に池田氏専用豪華施設を随所に作らせる等々。
池田がやったことが無茶苦茶であれば、その弟子たちがやることも想像できる。池田を守る、と称してどんなことでもやることになる。著者の国会での仕事では、池田を守ることが最優先されていた。驚いてしまうのは、池田の女性スキャンダルを報じた「月刊ペン」の編集長を、名誉毀損容疑で逮捕させてしまったことである。警察に手をまわしたというが、警察権力を自由にする事実には、ぞっとする。
創価大学の卒業生を、親衛隊として育て上げ、警察、検察、自衛隊その他の公務員として送り込む。要所要所に配置された学会員が呼応すれば、事事実上のクーデターをおこすことも可能に違いない。すぐ隣にある現実を見れば、決して夢想とは言えない。今この時にも国家レベルの何事かが捻じ曲げられている可能性が高い。
池田は、食べ残しを弟子に食べさせることがあったという。忠誠心を試すのである。この場面が、池田の弟子、信者に対する、更には人というものに対する態度をもっともよく現わしているように見える。
現体制の政党幹部は、このような池田大作という人間を利用することばかり考えているようだ。我々は、これから政治家の誰が、創価学会にどのように対するかを細心の注意を払うべきだと思う。
学会員でなくても
★★★★★
私は学会員ではありませんが、池田大作氏という人物が、週刊誌などではけっこう悪く書かれているのに、信者の人たちからものすごく尊敬されているのはなぜか不思議でした。この本を読んで、その疑問が解消されたように思います。筆者の矢野氏が書いているように、昔の池田氏の言葉(旅行先などでは周りが奇異に思うから、勤行はしなくてもいいとか)は部外者でも納得できるものが多く、泣かせるセリフもあったりします。それだけにどこで変質してしまったのかと嘆く筆者の思いが伝わってきます。
あと、池田氏が食べた後のトウモロコシをみんなで回して食べるシーンなど具体的なエピソードも面白かったです。
冷静な分析が印象的
★★★★☆
以前から、日蓮正宗の門徒団体であった創価学会を池田教とまで言われる巨大組織に作り上げた中興の祖である池田大作氏が、どのような人物で、いかに組織を纏め上げているかに興味があり購入しました。
創価学会の別働隊である公明党の元委員長にもかかわらず、現在は創価学会から「仏敵」としてバッシングされている矢野氏が池田氏を語る本ということで、攻撃的な内容かと思いきや、冷静な視点で池田氏を分析されているのが印象的でした。
内容としては、矢野氏が感じた池田氏の「生」の人物像が、様々な経験を元に語られており、最後まで興味を持って一気に読むことのできるものでした。