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幽霊のような子 (トリイ・ヘイデン文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 新書
ブランド: 早川書房
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悪夢 ★★★★★
なんか評価のつけようがありません。星5にしたのは少女を救ったトリイさんの奮闘と悲惨な体験を勇気をもって告白した少女に捧げます。普通の小説ならまだ楽しめたものの、実話ですから、、強烈。深夜に読んでたら本当に怖くなってきました。 特別クラスに就任して短時間でしゃべらないジェイディをしゃべらせたトリイさんはまさに彼女のなせるわざですね。 (以下ネタバレ) 最後はジェイディを安全な里親のもとへ保護できたものの、性的虐待をしていたカルト宗教の存在はつかめないまま終了。さらにジェイディの体験した悪夢は情緒障害による妄想かもしれない説も。 そしてもうひとつ、ビデオカメラの操作を知っていて写真をとられるのをひどく嫌がるジェイディは小児ポルノの被害者である説も。 結局はカルト宗教なのか?小児ポルノなのか?情緒障害による妄想なのか?はっきりせずに終わるがひとつだけ、本当に小さなヒントは数年後に子供にいたずらして逮捕されるジェイディの父でしょう。
余談ですがそういや「ゆるし」という本にも(かなりおすすめです)カルト宗教にのめりこんでいた父に性的虐待を受けた女性の話がのってました。
子ども(自分)の命が尊いと思える本 ★★★★★
自分を大事にすることや、内なる子どもを癒す・・・と言うイメージが解らない方にぜひ読んで頂きたい1冊です。傷ついた子どもの心に何が必要なのか、トリイから学んで下さい。

『幽霊のような子』はトリイの学級の子供で、特殊な性虐待に遭っていた姉妹を救い出すお話です。その子供が持つ、親に対する感情や、日常での精神状態が細かく書かれています。性虐待がどれほど子供の肉体的・精神的ダメージを与えるのか、救い出すにはどれほどの精神力・忍耐力が必要か、よく解ります。トリイはその子供から『自分を救いに来た神様』と呼ばれます。それほど家庭内の問題は深い部分で根を張り、難しい問題だと言えると思います。私には神様もトリイも現れませんでしたが、こうやって抜け出すことが出来た事は奇跡に近いのだと思いました。
未来に ★★★★★
彼女は体を二つ折りにたままだった。何もしゃべらす、反応もない…
いつも思うことですが、ここに出てくる子供たちは、少なからず親の
犠牲者であって、言葉や態度で反抗するまでもなく、病的症状として
表に現れる。こうなる前に周りが何とかできなかったものかといつも
感じさせられます。

トリイはいつでも同じ目線から、学術的根拠から手をかえ、品をかえ
子供たちと心をかよわせようとします。お絵かきだったり、絵本を読む
ことだったり、パーティーを開いたり…そんな彼女の真摯な眼差しに
心が打たれます。

強烈ないたみ ★★★★★
 心に重すぎる荷物を抱えたこども。その荷物は身体や精神の異常となり「手の施しようもないほど壊れてしまった人間」の姿として人々の前に現れる。この本のなかでも、常に体を二つ折りにし無言で何年も過ごしてきた少女がトリイの目をとらえる。
 トリイに少しずつ扉をひらき「助けて」と呼びかける少女の語る体験談はあまりに凄惨で、トリイでなくともそれが現実にあったこととはにわかに信じがたいものばかりだ。少女が生きていたことだけでも奇跡と思えるほど。
 トリイと周囲の大人たちによって少女と妹たちは救い出されるが、事件の真相は闇の中という、なんともすっきりしない結末を迎える。虐待児を救うことの難しさを感じる。ただ、トリイの言うように、一番大事なことは事件の全容を知ることではなく、少女が助け出されて現在健康を取り戻すことなのだ。子供たちの貴重な時間が、そのためにむざむざ失われてしまうことのないように。
 こどもを傷つけ苦しめるのは大人だが、救うことができるのもまた大人だけだ。トリイの本を読むと、そんな当たり前のことが胸に深く響いてくる。