精神障害の子どもたちのクラスをうけもった先生の書いたノンフィクション。
いくら考えても限界を感じてしまう私から見ると、
やはりプロはただものじゃないと感心、感服。
同時にラドブルックという自閉症の子の母親に感情移入せざるを得ない。ラドブルックは、周囲の人から見れば美人で高慢な元物理学者、そして
男性とのうわさがたえないという人物。それに対して夫は人格円満で娘に対して排泄の世話も厭わないと評判の人物。
が、家庭ではラドブルックの一挙一道を責めたて、そのうえで愛情をもっているからだ、と用意周到に卑怯である。
ラドブルックはアル中。身につまされる・・・。
母親が責められるのもどこの国でも同じなんだな・・・。
この本のすごいところは、まず周囲からみてこういう人間関係でお互いが苦しんで
いるが、実際にはどちらがどちらを支配しているのか、
というのをトリイが悩みつつ本当の部分を見出していくところ。
お医者さんが書いた精神障害の本は家庭の内情は書けないだろう。
精神障害の難しさとそれがもたらす「荒れ」に、「救い」まで追って
感動的なノンフィクションにかけるトリイ・ヘイデンはすごい。
障害児と性の問題もリアルに隠さず書いている。
当事者から見て嘘のある本はすぐわかる。
こういう人が世界に一人しかいないのか?と思うと、感動しつつも
現実に生きていくことに引き戻される。
ラドブルックが自分の人生を生きていく結末を応援したい。