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隊長ブーリバ (潮文学ライブラリー)

価格: ¥1,000
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 潮出版社
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激しくも雄雄しい、コサック達の生き様 ★★★★★
 本作は「死せる魂」や「外套」「検察官」で有名なロシアの作家にして、偉大な国民詩人アレクサンドル・プーシキンの弟子、ニコライ・ゴーゴリの初期の作品です。
 私が初めて本作を読んだのはまだ10代の頃。まだ知識も見識もなく、コサックと言えばコサックダンスという貧弱な連想しかできない経験の浅い読書戦士だったので、遥か遠い時代の異文化の作品というだけであたあたとしながらも、コサック達の生死と誇りを賭けた激しい生き様に、大きなショックを受けたのを覚えています。
 ゴーゴリの描写は見事で、コサックの壮烈な生き方と、ロシアのしろがねの雪や氷、黄色い太陽の風景の鮮烈さが実によくマッチして、読者に強力な印象を与えます。
 ブーリバの二人の息子、オスタップとアンドリイの生き方の違いには考えさせられました。良質の「思索の種」を提供してくれる辺りは流石名作です。
 何が大切かは人によって違うけれど、選択した責任は取らねばならない・・。そしてこの時代にコサックとして生まれた以上、息子たちはどの様な形にせよ戦いに出ねばならない。一番可哀相なのは母親ではないかと思わされました。ブーリバの妻、二人の息子の母は作中に少ししか出てきませんが、家族を思うその健気な様子は非常に心に残ります。
 今、初読時から数年が経ち、当時はピンとこなかった事や、どうしても理解できなかった事が、ぼんやり理解できてきたように感じます。読む角度や年齢、立場によって様々な読み方ができる、まさに名作古典です。ぜひ一読を。
 
貴重な名作の復刊 ★★★★★
『われわれはみな、ゴーゴリの「外套」から出た』とドスエエフスキーがいったように、ロシア近代文学は、ゴーゴリを父と仰いでいる。
この「隊長ブーリバ(原題:タラス・ブーリバ)はゴーゴリのリアリズム文学ではなく、ロマンチズム文学に属する名作である。

ブーリバは南ロシアのコサックの隊長の名前である。
この物語は、このブーリバと敵であったポーランドと戦い抜くブーリバとその息子との愛、次男アンドリイと敵方の貴族令嬢との死を賭した恋を中心に描かれている。
息子達が捕まり、ポーランドに移管され処刑になるとき、目隠しされた息子の口から「ああ、お父さん。お父さんはここにはいないのですね」と最期の言葉が発せられると、
ポーランドの群衆の中に仮装して忍び込んだブーリバは「ここにいるぞ!」と叫んで、姿を消す。
郎隊長となったブーリバ自身も、最後の戦いでついに炎の中に消えていくが、同志達を先に逃がし、こう叫ぶ。
『さようなら、戦友のみんな!わしのことを思い出してくれい、そして来春にはまたここへやってきて、思い切りふざけ散らしてやってくれい!(中略)
われわれコサックが恐れるものがこの世にあると思うか』
小説全般にわたってセンチメンタリズムなど微塵もなく、戦い抜く、雄々しい勇敢な男達が、また庶民が描かれている。

ゴーゴリの精神は、トルストイ、ドストエフスキーたちに受け継がれ、各々が世界文学史上に残る名作を次々に生み出すのである。

貴重な名作の復刊である。
「外套」や「狂人日記」とは違うと思います ★★★☆☆
話が突拍子もなくユーモアがあり、登場人物は悲哀な運命に苛まれるというのがゴーゴリ作品の特徴だと思います。
本作品は比較的初期に書かれたもので、これらの特徴はまだ表れていないように思います。だから「今度はどんな奇妙な話が飛び出すだろうか」と期待していた私は正直少しがっかりしてしまいました。

大自然の中でのコサック達の粗野で素朴な生活ぶりがロマンチックに描かれており、当時の雰囲気が読み手にいきいきと伝わってくる作者の表現力に関心しました。