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流星たちの宴 (新潮文庫)

価格: ¥961
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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狂った時代に踊った日々 ★★★★☆
あの麗しくもおぞましいバブル時代のさなか、
最もそのバブルに近かった男の話である。
完全に男の夢とロマンティシズムの産物であり
そこに感情移入できなければ醒めてしまう語り口でもある。

無味乾燥な世界の住人でありながら、
ネット長者たちがことある毎に夢を語るのは、
どこか自分の生き方にロマンを求めたい男の
共通した性なのだろうか?

横森理香『ぼぎちん』と同じ時期・同じ登場人物が描かれているが
女性の横森が極めて客観的・冷静に事態を見つめているのに対し
男性の白川が主観的に、夢にうなされ、バブルに踊っているのには
滑稽を通り越して悲哀も感じてしまう。

舞台を兜町から六本木に移して、新たなバブルが産まれた昨今、
過去から現在を照らす、再読に値する作品であろう。
ブラックマンデーの翌朝は? ★★★★☆
 相場ものとしては清水一行のものより現実感があり、面白いと思います。もう少し身近な作家としては幸田真音がいますが、彼女は相場の実体を知らないのでしょう、白川氏の説得力の比ではありません。ただ、ニューヨークのブラックマンデーの翌朝の東京市場の展開を読者に任せてしまうのには不満です。雅之が破綻することを暗示させますが、推測せよというには事態が大きすぎます。
ピカレスク小説 ★★★☆☆
ハードボイルドじゃなくって、ピカレスクって呼ぶんじゃないの?
相場という夢を見たもの ★★★★☆
白川道の本で初めて読んだのは「天国への階段」で2000年のことだった。その迫力に引き込まれ、分厚い上下巻のハードカバーをあっという間に読み終えてしまった。ただ、読後感はまずかった。ラストが気に入らなかったのだ。ああいう終わらせ方しか出来ないのなら、この作家はその程度だと、見限ったつもりでいた。

 ところが、この「流星たちの宴」は違った。デビュー作らしい荒い構成に目をつぶれば、全てが面白かった。

 話はバブルの頃にさかのぼる。37歳の主人公、梨田雅之は投資顧問会社社長に見込まれ、株の世界に足を踏み入れる。そこで恩師とともに何百億円単位の仕手戦に出るが、土壇場で恩師を裏切る。手元に残ったのは1億円の金。その虚しさを使い果たした時。男は再び株の世界へ戻り、復讐にも似た勝負に乗り出した…

 本書の雰囲気は、次の言葉の中にある…

 「動機と結果を結ぶもの。きっとそれが夢ってやつなんだ」

 「相場にはな、たとえその相場が崩れても、またいつか蘇るだろうという期待が持てる物語がなくちゃならない。そいつがなくては、相場は相場は単なる金もうけだけの夢のない代物になってしまう」

 描かれているのは、ひりひりするような生。夢。結果が問題なのではない。生き方が、問題なのだ。動機と結果を結びつけることも出来ずに、毎日を過しているのは私だけではないはず。そういう人には、おすすめの一冊

 なお、この「流星たちの宴」は白川のデビュー作。一方、「天国への階段」は見城徹氏肝いりの幻冬舎の記念作品。たぶん私が気に入らなかった「天国への階段」のラストより、「流星たちの宴」のほうが、白川道の真の作風なのだと思う。

雰囲気はなかなかいいです ★★★☆☆
株式相場を扱った内容の小説でなかなか面白いものに出会ったことがなかったのだが、これはなかなか雰囲気があって楽しんで読むことができた。ただ、登場人物の少々、説教くさいというか人生訓的な台詞が多い印象があり、そうではなくて、主人公の様々な背景などがより深く緻密に書き込まれていると、主人公の気持ちにもさらに感情移入がしやすかったのではないかという気がする。(比較対照は「レディ・ジョーカー」)「理子」のモデルってどんな人かなぁ?。