ところが、この「流星たちの宴」は違った。デビュー作らしい荒い構成に目をつぶれば、全てが面白かった。
話はバブルの頃にさかのぼる。37歳の主人公、梨田雅之は投資顧問会社社長に見込まれ、株の世界に足を踏み入れる。そこで恩師とともに何百億円単位の仕手戦に出るが、土壇場で恩師を裏切る。手元に残ったのは1億円の金。その虚しさを使い果たした時。男は再び株の世界へ戻り、復讐にも似た勝負に乗り出した…
本書の雰囲気は、次の言葉の中にある…
「動機と結果を結ぶもの。きっとそれが夢ってやつなんだ」
「相場にはな、たとえその相場が崩れても、またいつか蘇るだろうという期待が持てる物語がなくちゃならない。そいつがなくては、相場は相場は単なる金もうけだけの夢のない代物になってしまう」
描かれているのは、ひりひりするような生。夢。結果が問題なのではない。生き方が、問題なのだ。動機と結果を結びつけることも出来ずに、毎日を過しているのは私だけではないはず。そういう人には、おすすめの一冊
なお、この「流星たちの宴」は白川のデビュー作。一方、「天国への階段」は見城徹氏肝いりの幻冬舎の記念作品。たぶん私が気に入らなかった「天国への階段」のラストより、「流星たちの宴」のほうが、白川道の真の作風なのだと思う。