2本のエレガントな監督作品を見れば分かるとおり、ソフィア・コッポラは才能豊かな映画監督であり、人間の内面を見通す鋭い目を持っている。おまけに、彼女は耳もいい。東京を舞台に、行き場を失った2人のアメリカ人が年齢差を超えて親密になっていくというストーリーの『ロスト・イン・トランスレーション』では、時差ボケも吹っ飛ぶような素晴らしい音楽を聴くことができる。
コッポラが用意したのは、まさにこの映画にぴったりなマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「Sometimes」や、ジーザス&メリー・チェインの刺々しい「Just Like Honey」を始めとする、一連のシューゲイザー・ポップ。これらの音楽は、ビル・マーレイ演じる中年の危機を迎えた映画スターと、スカーレット・ヨハンソン演じる孤独感を抱えた20代の女性のモヤモヤした頭の中を表現する。また、彼らの異国での冒険をしっかりと温かく包み込む役割も果たしている。コッポラは、プロデューサーのブライアン・レイツェルと手を組んで、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズに何曲かスコアを書かせた。シールズが提供したトラックは、ドリーミーで雰囲気たっぷりなインディー・ロック風の仕上がりで、混とんとしていながらスタイリッシュでもある。
うれしいことに、日本の笑える曲も登場。1970年代初めのバンド、はっぴいえんどによるアメリカ製フォーク・ロックの奇怪なパロディーである。また、シークレット・トラックとして、ロキシー・ミュージックの「More Than This」のマーレイによるカラオケ・バージョンが入っている。劇中でマーレイが披露した眠そうな歌声が、そのまま収録されているのだ。(Marc Weidenbaum, Amazon.co.uk)
これだけでも十分OKだよ。
★★★★★
マイブラのファンは必聴でしょう。映画のサントラには、似合わないサウンドだと思っていたがが、これがなかなか良い。映画の方は、日本にいる外国人の視点から見た、日本を舞台にした作品と言う意味で極めて興味深い映画でもある。サントラだけ聴いても十分楽しい作品だ。「はっぴいえんど」のはまり具合には、唖然とした。
サントラ以上の存在感
★★★★★
アルバムとして純粋に優れた一枚。
独特のサウンドが、聞き手の目的に合わせて心に作用してくる。
落ち着きたい時に聞けば癒やしになるし、気力を出したい時に聞けば、気分がハイになる。
非現実の様な、懐かしくなるような、切なくなるような
様々な感情が、脳の奥底から目を覚まして蘇り、音楽と共に全身の毛細血管に響き渡る、まさに感情の走馬灯の様なアルバムです。
購入してから数年経ちますが、一向に聞き飽きません。
個人的には、モーツァルトとかと同質の音楽だと思います。
何言ってんだ?コイツ?と思われたかもしれませんが、
是非聴いてみて下さい。
サントラとしては最高です
★★★★★
映画を見た人ならわかるかもしれないけど、あんまり激しい展開がこのストーリーにはないと思うんです。あるのは、どうしようもない退屈さ。しっくりこないコミュニケーション。なんだかそんな映画の雰囲気を如実に表したような盤だと思います。よく他のサントラは、大物が楽曲提供!なんて言って実際映画のコンセプトとはだいぶかけ離れたりしていてガッカリ、なんてこともあるんですが・・・(いい曲もあったりするんですがね)ソフィアさんはそんなことないんですね。ケビン・シールズはじめ、いま人気のフェニックスのファーストからの曲だったり、さまざまなアーティストが使われているのに、統一感があるので、とても聞きやすい。また、映画を観た後にすぐ聴いても、その雰囲気を壊さずに聴けます。こういうサントラなら何枚あってもいいな。
東京と京都の風景に馴染んでいるイギリス&ヨーロッパのロック。
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映画本編は駄作でしたが、このサントラはかなり素晴らしいです。イギリス&ヨーロッパのロックを基調とした音楽は、映画本編を観ていなくても、これ単体で十分楽しめる程に完成度が高い作品になっています。東京と京都の風景にすっかり馴染んでいます。本編でボブ・ハリス(ビル・マーレイ)がカラオケで歌っていた『More Than This』が、16曲目が終わった後のシークレットトラックに収録されています。
絶品コンピレーション
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ソフィア・コッポラの監督第2作「ロスト・イン・トランスレーション」のサントラ。前作「ヴァージン・スーサイズ」同様、女性の視点で進行する繊細な物語と、どこかはかなげできれいな映像が魅力的な映画だが、サントラも見事な出来ばえで、彼女の映画作りにおける全てに行き届いた思慮深さとセンスの良さにはいつも驚かされる。
東京を舞台に、ひとりの若き女性の孤独とつかの間の恋を描くとあって、テクノ系のインストが大半を占めるが、それらがネオンきらめくコンクリートジャングルの夜の雰囲気によくマッチしている。SQUAREPUSHERやDEATH IN VEGASら大物の楽曲提供が豪華。そして何よりの話題は、MY BLOODY VALENTINEのフロントマン・Kevin Shieldsの新曲が収められていることだろう。新境地を見せるインスト3曲に、優しくゆがんだギタープレイ健在の「歌もの」1曲・"City Girl"というラインナップは、ここ10年来、表舞台から姿を消していたひとりの天才ミュージシャンの堂々のカムバックを高らかに告げるものである。
主人公がタクシーから流れてゆく東京の街の景色を眺める時に流れる、MY BLOODY VALENTINE/"Sometimes"や、ラストの別れのシーンで使われるTHE JESUS & MARY CHAIN/"Just Like Honey"など、一組の男女の短い逢瀬を通して心に響いてくる、出会いと別れの切なさを象徴するかのような名曲の数々は、人間関係における、泣きたくなるほど美しいものを、おぼろげながらも聴くものに垣間見せてくれる。