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完本 茶話 (上) 冨山房百科文庫 (37)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 冨山房
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随筆の傑作 ★★★★★
大正時代の随筆。歴史的仮名遣いで、登場人物も内容も現代につながるものはない。
しかし、短い文できわめて的確に人物を表現し、「見てきたように」ものを
表現するやり口は魅力的である。京都大阪の学者、多くの日本画家、上方の
芸人や財界人が筆者の手にかかれば鳥獣戯画のごとくに活写される。どこかで
聞いたような話も多いが、書かれている年代を考えると、この本が元ねたではないか
と思わせる。たとえば「それにつけても金のほしさよ」という常套句があるが、
この本ではその由来が簡潔に語られている。一方で当時の外国の風物、興味深い話を
紹介する機能があったようである。たとえばフランスの三ツ星レストラン、トゥール
ダルジャンがこのころから有名な料理屋であったことも知ることができる。
人間とはどういう生き物か、リアリティをもって感ずることのでき、
人生の味わいがふかまる本である。
コラムの嚆矢にしてお手本 ★★★★☆
他社文庫で出ているセレクト版があまりに面白かったので完全版に手を出してしまった。どこから情報を入手しているのか国内外の幅広い話題といい、ゴシップを語っても決して下品に堕していない軽妙かつシニカルな文体といい、コラムのお手本のような作品である。

第一次大戦や原敬内閣や米騒動が時事問題であることに驚かされる。また芸能ネタの対象が歌舞伎役者というのも時代を感じさせる。当時の役者の名前など出されても現代の我々にはちんぷんかんぷんだし、その手の「通じない話」の分量が結構多いためセレクション版に比べると面白さは少し落ちる。しかし作者自身、まさか80年90年後にも読まれているとは夢にも思っていなかったことであろう。